すずかんの医療改革の「今」を知る(2006年8月号)
第10回「がん対策基本法に魂を入れるのは現場からの声です。」
6月16日の参議院本会議において、「がん対策基本法案」が全会一致で可決成立しました。この法案は、まず民主党が4月に提出、その1ヵ月後に与党案も提出され、与野党が合意して一本化したものです。私も民主党案の作成チームの一員でした。 途中、今国会での成立が危ぶまれましたが、民主党の山本孝史議員が5月22日の参議院本会議で自らがん患者であると告白し、同法の速やかな成立を訴えたことが流れを変えました。
がん対策推進を求める国民の要望とその緊急性に、遅まきながら与野党を超えて応えた意義は極めて大きく、本年は「がんとの闘い元年」となりました。この法案に魂を入れるため、今後は「がん対策推進基本計画」に何を盛り込むかに焦点が移ります。
当面めざすべきは、放射線療法、化学療法などの専門的医療人材の育成と確保、疼痛緩和医療の治療早期からの導入、在宅でのがん医療推進などが代表的であろうと考えます。また、3Kで苦労している医療従事者たちが患者本位の医療に専心できるよう、がん対策予算と診療報酬の裏づけも必要でしょう。
対策が必要なのは、がんに限りません。衆議院厚生労働委員会では会期末に「安全で質の高い医療の確保・充実に関する決議」がなされました。患者の生命を救い健康を守るためには、志の高い医療従事者が自らの技量を十分に発揮し安心して本来の医療業務に専念できるようにしていくことが重要との認識から、医療界や国民各層に協力を呼びかけるものです。
私どもも頑張って参りますが、今求められているのは現場からの声です。これまでは国会や行政へ届かず、無力感を覚えたかもしれませんが、転機が到来しました。ぜひ、生の情報を発信して下さい。