すずかんの医療改革の「今」を知る(2006年7月号)
第9回「官邸や霞が関には医療現場の実態が見えていない。 」
さる5月18日、政府・与党の医療制度改革法案が、厚生労働委員会での強行採決を経て衆院を通過しました。参院でも強行されれば10月から、高齢者の医療費負担が引き上げられることになります。
政府・与党が制度改革の根拠に挙げているのは、国民医療費が2025年度に65兆円に達するという推計です。しかし、厚生労働省の推計は常に過大で、未だかつて当たったことがありません。
また、産科や小児科などでの医師不足が一般にも知られるようになりましたが、政府・与党はこの事態の火に油を注ごうとしています。
先日、行政改革推進法案が成立いたしました。今後、公務員が5%削減されますが、この5%には国立病院機構、大学病院や効率病院などの医師や看護師も含まれています。公的病院には、本来産科や小児科など不採算部門を担う役割こそ期待されているはずです。
私は、現場の惨状を5月の参院行政改革委員会で質しました。ところが、厚生労働大臣は「(新人医師の進路として)産科・小児科についても激減でない、割合いい数字が出ている」と答弁されました。勤務実態が、まったく見えていないことに、唖然としました。
この法案の発想は、人を減らしても、給料にメリハリをつければ生産性が上がるというものです。しかしながら勤務医が欲しがっているのは、少々の給料アップよりも、休息とそれを可能にする人数のはずで、今以上に生産性を上げろというのはムチャな話です。
ことほどさように官邸・霞が関と医療現場との間にはギャップがあるのです。そのギャップを埋めるべく今後とも頑張ってまいります。皆さんも、ぜひ現場からの声をお寄せください。