すずかんの医療改革の「今」を知る(2006年5月号)
第7回「周産期医療の抜本的改善を」
本年2月、福島県立病院の産科医が、帝王切開の患者様の死亡(平成16年12月)に関し、業務上過失致死罪・医師法違反で逮捕されました。
まず、患者様とご家族様に心からお悔やみ申し上げます。また、病院等の民事責任は避けられないと思います。
一方、本件は約10万人に1人の稀有な症例で、「事前の確定診断は困難」とも言われています。「全力で臨んでも結果次第で逮捕・起訴されてしまうなら、ハイリスクな治療は躊躇せざるを得ず、患者の『たらい回し』も広がりかねない」。臨床現場に動揺と懸念が広がっています。
これに関し、周産期医療の崩壊を危惧する医療関係者らが、全国の大学・主要病院の院長を世話人として展開した署名活動には、6520名の賛同が集まったとのこと。私も相談を受け、3月17日、厚労大臣への陳情を調整し、超党派の議員と同席させていただきました。
実際、近年では過酷な労働環境や高い訴訟リスクを背景に、多くの病院医が開業医へと転出。平成15年度に1096あった関連病院中、16年度末までに27%の病院で産科医数が減少またはゼロに。(日本産婦人科学会調査)新たに産科を志望する若い医師も、激減しています。
さらに逮捕後は、産科医数が2人以下の病院で医師の辞意表明や引き上げが加速し、特に東北・北海道で事態は深刻です。
今回の陳情書も「医療現場での事故を個人の責任だけに帰せば、原因追究と適切な再発防止の徹底を阻みかねない」と主張。
最低限、1)病院勤務産科医一人体制(全国で14%)の即刻解消、2)医療事故調査・紛争解決のための専門家による第三者機関設立、3)重症合併症を有する妊婦の病院間搬送システムの整備(救急ヘリ含む)等を、速やかに検討・実施すべきです。