すずかんの医療改革の「今」を知る(2006年2月号)
第4回「老人保健法ならぬ「小児保健法」を!」
日本の1〜4歳児の疾患による死亡率は、先進14か国中、最も高いことをご存知でしょうか。(国立保健医療科学院「わが国の小児の保健医療水準―先進国との死亡率の比較より」2004)。
死亡原因第1位は不慮の事故。幼稚園や小学校など公的管理の下では死亡率が改善することから、「育児支援・家庭訪問保健士」などサポート制度を新設・拡充し、家庭と社会全体での目配りに努めねばなりません。
それ以上に改善が急がれるのが小児救急医療体制。整備された地区があるのは都市部のみで、例えば青森県内にはゼロ。全国の急患センターに運び込まれる患者の約半数は小児(8割が3歳未満)ですが、救急告示病院のうち小児救急を実施しているのは54%、24時間365日体制はその4割に限られ、小児科医がいる病院はさらにその3割です。医師も設備も足りません。
これは別にそれぞれの病院が悪いわけではありません。システムの問題なのです。
小児科は不採算部門。投与する薬も大人より少量のため、かかるコストの6割が人件費です。しかも激務の小児救急医療はどんどんカットされています。
救急車でなく自家用車やタクシーで駆けつける患者が多いことも関係あり。現行の診療報酬体系では、それだけで病院の収益にマイナスに働くからです。
インフルエンザなどの流行する冬に患者が多く夏に少ないため、常に一定数のベッドを小児科用に確保するのは経営的に困難、という事情もあります。
叫ばれる少子化対策。1〜4歳児の死亡率を他の先進国並みに改善すると年間600名以上救命できる公算ですから、小児救急医療体制の整備・拡充はまさに急務です。老人保健法ならぬ「保健法」が現実的に検討されてしかるべきでしょう。