鈴木寛(すずき ひろし かん)

熟議・新しい公共

全国規模で熟議運動が展開

2012.02.18更新

 私が文部科学副大臣として、新しい公共推進運動の中核として位置づけていたものに、熟議の取り組みがあります。
 熟議とは、ある問題に対して関心を有する当事者が熟慮し議論することにより、問題を共有し、解決策を見いだすというものです。人々が、自己の利益を実現するために、利益代表を送り込み、多数派工作が横行しがちな代議制政党政治だけでは、自己利益むき出しの利権分捕り合戦に陥ります。経済成長期ならば大きな問題は生じませんが、成長が止まると勝ち組と負け組に分断されます。そこにステレオタイプなイメージを増幅するテレビポリティックスが加わると、市民の政治不信と既得権温存の悪循環に陥ってしまうのです。日本のような先進国型成熟社会では、新しい公共型の熟議が必要なのです。
 熟議運動は、ネットとリアルの両方で全国的に展開されています。インターネットを活用したネット熟議は、約20テーマで実施され、全国や海外から約1万4千件の声が寄せられました。リアル熟議の方は、2010年から本格的に始まり、約一年半の間に全国各地で130回以上にのぼりました。また文部科学省ではこの熟議の取りくみや新しい公共の理念を既存の政策形成の革新につなげようと、「熟議カケアイ」という政策創造のサイトを立ち上げました。
 熟議に基づく熟議民主主義の実現は私のライフワークでもあります。今後の取り組みにも積極的に関わっていくつもりです。

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