コミュニティ・スクールに詳しくなりたければここで調べてみよう。
コミュニティ・スクールのキーワード17
- 1 学校運営から「学校プロデュース」へ。
- 2 決議にコミットできるPTAへ。
- 3 根っこは、コミュニティ・ソリューション。
- 4 政府・市場の限界。そこにコミュニティ・ソリューション。
- 5 その方法は「熟議の民主主義」。
- 6 「つめこみ」でも、「ゆとり」でもなく、「オーダーメイド」へ。
- 7 地域の人的つながりこそソーシャルキャピタル。
- 8 いま欠けているのは「自発的参加」の概念。
- 9 積極的な住民の声があったら議論すべし。
- 10 楽しい学びのコミュニティづくりが鍵。
- 11 step1.[地域性とテーマ性の出会い]。
- 12 step2.[メディア・リテラシーがキモ]。
- 13 PTAを批判者から学校最大の応援団へ。
- 14 教育委員会の仕事は、「管理」ではなく「支援」。
- 15 見直すべき三層構造(文科省、都道府県、市町村教育委)。
- 16 教育委員会と学校の適正ユニットサイズとは?
- 17 コミュニティの力を信じて一石が投じられた。
著書・共著・寄稿
対談・インタビュー
すずかんネットワーク
コミュニティ・スクールのキーワード17
文教科学委員会【地方教育行政法の一部改正について】(2004/06/01)スピーチから17のキーワードを選びました。
1 学校運営から「学校プロデュース」へ。
いままでの学校運営では、教育委員会、都道府県教育委員会、文部科学書などの意向が強く利き過ぎでした。その反省のもと、開かれた学校づくりを進めるべき。学校の主体性、自主性を尊重した"学校プロデュース"を実現するには、そのための組織をどう編成するかが重要です。
2 決議にコミットできるPTAへ。
いままで自由に意見を言い合えるPTAはあっても、それが言いっ放しや、学校押し付け型の議論になっていたのでは? もっと当事者意識を持ち、決議の中にコミットできるPTAへ、もう一歩学校プロデュースに近いところまで踏み込みたいものです。
3 根っこは、コミュニティ・ソリューション。
コミュニティ・スクール構想の下敷きとなっている考え方は、『ボランタリー経済の誕生』にあります。この中で打ち立てた"コミュニティ・ソリューション"という概念を、教育の現場に当てはめたのがコミュニティ・スクールです。
4 政府・市場の限界。そこにコミュニティ・ソリューション。
今まで近代国民国家を動かしてきた社会システムだけでは、さまざまな問題を解決できなくなって来ました。そこで出てきたのが、コミュニティ・ソリューションという考え方です。
教育現場にどの程度、権限委譲するかについて議論はあるものの、少なくとも脱中央集権化の方向には進んでいるし、そうあるべきです。
5 その方法は「熟議の民主主義」。
ドイツのハバーマスが唱える「熟議の民主主義」のように、当事者が子どもたちの学び支援のためにコミュニティをつくり、いろいろな知恵を持ち寄り、新しい知恵も見い出す。それを現場に問うて試行錯誤を繰り返していく中で、その学校ごとの正解を導くというのが、コミュニティ・スクールの基本にある考え方です。
6 「つめこみ」でも、「ゆとり」でもなく、「オーダーメイド」へ。
つめこみとか画一教育の反意語はゆとり教育ではありません。オーダーメイドしていくことが、教育サービスの質を上げます。オーダーメイドとは、作り手と使い手が常にコミュニケーションしていること。つまり、その子にとってベストな教育が何かを判断し実行しフィードバックする、その学校ガバナンスを確立しようというのがコミュニティ・スクールの基本理念です。
7 地域の人的つながりこそソーシャルキャピタル。
コミュニティ・ソリューションが機能するには、ソーシャルキャピタル、即ち、信頼のきずなで結ばれた人のつながりが不可欠です。残念ながら、ソーシャルキャピタルの喪失という問題が全国的に起きており、これは、少年による凶悪犯罪の多発などとも無縁ではありません。
8 いま欠けているのは「自発的参加」の概念。
ソーシャルキャピタルができていく上で極めて重要なのは、自発的参加。今回の地方教育行政法の改正において決定的に抜けている概念が、この自発的参加です。コミュニティ・スクール構想を真に実のある制度にしていくには、ソーシャル・キャピタルをどう作っていくかが重要です。
9 積極的な住民の声があったら議論すべし。
教育委員会がコミュニティ・スクール指定に消極的な場合でも、実態として地域住民の強い声があった場合には、きちんと検討し議論を行うべきです。
10 楽しい学びのコミュニティづくりが鍵。
思想家、イリイチの提唱した「コンビビアル・ラーニング・コミュニティ(共愉的学習共同体)」が形成されるかどうか。これもコミュニティ・スクール構想実現への鍵です。例えば兵庫県の山口小学校は、百ます計算ばかりが有名になってしまいましたが、本当に大事なのはコンビビアル・ラーニング・コミュニティの好例だということです。
11 コミュニティ・スクール実現へのstep1.[地域性とテーマ性の出会い]。
静岡県清水市からはじまった土曜日のサッカー少年団、私自身も推進している「土曜学校運動」など、地域・保護者が一体となって、充実した土曜日をつくる。非行防止や青少年の健全育成にも有効と思われるこうした活動を、文部科学省が支援すべきではないでしょうか。地域を中心としたコミュニティと、例えば"サッカー"のようにテーマ性を持ったコミュニティが合体すると、いい活動になります。ここに大きなヒントがあります。
12 コミュニティ・スクール実現へのstep2.[メディアリテラシーがキモ]。
小学生が学校に通っている時間は年間700時間、テレビを観ている時間はもっと長い。メディアは子どもたちの人格形成に大きな影響を与えるので、メディアリテラシーは重要です。テレビや新聞で報ぜられている事をどう精査し、自分たちのリアリティある生活の中に落とし込んでいくのか、そういう観点での総合学習をさらに押し進めるべきです。
13 PTAを批判者から学校最大の応援団へ。
PTAを健全にしていくためには、現場を見て実感してもらうことが大切。それによって批判者が協力者に変わっていきます。コミュニティには市民相互の自浄作用がある。次の施策は、コミュニティを学校の最大の強固な応援団に育てることですから、ぜひ今の制度を活用してさらに深化させていただきたいものです。
14 教育委員会の仕事は、「管理」ではなく「支援」。
日本の教育が権力行為という法的構成になっている以上、学校の実態は進展しません。教育委員会の仕事は管理ではなく支援であるべきです。1956年以来の地方教育行政法の抜本改正が必要だと考えています。
15 見直すべき三層構造(文科省、都道府県、市町村教育委)。
学校及びその学校を支援する地元の教育委員会に財源と人間を手厚く充当すること。財源と人間確保は国が責任を持つこと。そして、学校は子どもたちの顔を見ながらオーダーメイドの教育を行っていくこと。学校だけで無理なことは市町村の教育委員会が支援する、といったあり方が望ましいのです。
16 教育委員会と学校の適正ユニットサイズとは?
鳥取県は生徒数が35,540人で、江戸川区教育委員会が面倒を見ている小学生の数(35,529人)とほぼ同じ。鳥取の県教委と江戸川区の区教委が見ている小学生の数はほとんど同じにもかかわらず、法律では江戸川区は区教委、市教委以下の権限しかない! これは破綻しています。教育委員会と学校の適正サイズ、権限の配分について早急に議論すべきです。
17 コミュニティの力を信じて一石が投じられた。
今回の改正案は、地域、教育の現場を信用して任せてみようというもの。学校管理、運営、経営、プロデュースのノウハウ、人的な支援、相談の体勢、学界や教員仲間たちからの支援など、官のみならず、いろいろな人が子どもたちのために頑張ってみようと一歩を踏み出したものです。本格的な義務教育改革がこの法案の議論から始まっていくと痛感しています。
著書・共著・寄稿
- 『コミュニティ・スクール構想−学校を変革するために』(金子郁容、鈴木寛、渋谷恭子/岩波書店)
これが原点。いまなおコミュニティ・スクールを考える上でのバイブル的存在です。 - 『中学改造-"学校"には何ができて何ができないのか』(藤原和博編著、櫻井よしこ・苅谷剛彦・鈴木寛共著)
公立中学再生をテーマに、これからの学校が育てる21世紀型人間像を探ります。
第4部第2章で対談。すずかんがめざす「教育の構造改革」像がわかります。 - 『国政の場で日々、教育をどう論じているのか』(スズカン@永田町)
小学館の月刊誌「総合教育技術」に好評連載された記事を全文PDFでお読みいただけます。すずかんがなぜ「人づくり・教育」をライフワークとしているのか知りたい方は、ぜひお読みください。
対談・インタビュー
- 『情報編集力−ネット社会を生き抜くチカラ』(藤原和博/筑摩書房)
コミュニティ・スクールの授業の先駆的な取り組みとねらいを紹介しています。
"第6章「情報編集力」はザリガニとサッカーが育ててくれた"で対談。 - 『世界でいちばん受けたい授業2』(藤原和博/小学館)
コミュニティ・スクールの授業はこんな風になる!中学校での事例を満載。
"カリキュラム7 2時限目"にゲストティーチャーとして参加。 - 『新しいタイプの公立学校−コミュニティ・スクール立案過程と選択による学校改革』(黒崎勲/同時代社・日日教育文庫)
コミュニティ・スクール実現に向けての流れと、その中ですずかんが果たした役割が客観的な視点で描かれています。
すずかんネットワーク
- 『子どもの夢を育むコミュニティースクール●教育ボランティア連携の手引き』(貝ノ瀬滋/教育出版)
三鷹市立第四小学校における先進的な取り組みが具体的な事例も豊富に紹介されています。 - 『日本初の地域運営学校―五反野小学校の挑戦』(大神田
賢次/長崎出版)
コミュニティ・スクールのモデル校として日本初の試みに取り組んできた五反野小学校の挑戦の軌跡です。