2006年5月8日 行政改革特別委員会
〜行革推進本部のあり方、医療・教育分野の人員確保について〜
○鈴木寛君(参院行政改革特別委員、以下略)
民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
引き続き行政改革推進法について質問をさせていただきたいと思いますが、私も今、松井議員の後半の議論、正にその点がやっぱり全くこの法案提出に当たって十分審議、準備がされないままに今回の行政改革推進法案が提出をされているという、これは大変遺憾だなということを私も思っております。
例えば、今のIT調達の件についても、もう五年も前からあるいは十年も前からその問題が指摘をされ、参議院の決算委員会などでもいろいろな議論がなされ、問題意識共有されてきました。恐らく小泉内閣総決算の行政改革推進法案では、こういうことが一挙に解決の糸口が付けられるんだというふうに多少は期待をいたしておりましたが、その点が全く抜けているということを私は大変残念に思います。
実は、官房長官お見えでございますのでちょっと伺いたいと思いますが、四月二十九日の日本経済新聞に非常にいい記事がございました。この一面の特集で、「まだ削れる」、「財政」という特集がありまして、そこでは、官房長官の地元であります山口県の下関市、私も以前山口県に勤務させていただいておりましたのでよくここには行きまして、非常にイメージがわくわけでありますけれども。
要するにその記事で報じられていることは、JRの下関駅前に大きな看板を作るということになって、その落札額が千七百七十五万円、市が予定した価格の八二%の水準で落札ができたと、こういう記事であります。
日経新聞は、正にまだまだ二兆円ぐらいの皮下脂肪があると、こういうことの一例としてこの下関の例を取っているわけでありますが、こういうことができるようになったのは、実は下関市が電子一般競争入札ということを始めることによって、電子一般になりますと、これ指名から一般ということがまず一つですし、それから電子になりますとなかなか、いわゆる談合に極めて近いグレーな情報交換というのがほとんどできなくなりますので、そういう意味で、この電子競争入札になったということが、これ下関の場合は四年になるんだそうでありますけれども、従来の九五%前後の落札率から、平均落札率から八五%に低下をしていると。これ大変いい話だと思います。
それから少し、下関の例の次に横須賀の例がございます。これは、竹中大臣もいらっしゃいますけれども、私たち慶応湘南藤沢キャンパスもお手伝いをしながらこの横須賀の電子競争入札についてはお手伝いをしたと。結局、横須賀は、電子入札をやった結果、例えば二〇〇四年度で四十五億円の予算が余って、そして三分の二は追加工事に回して、三分の一は治安や子育てなどの経費にも充てたと、こういう例がございます。
恐らく、正に今回の行政改革推進法案で、あるいは我々が正に与野党を挙げてやらなきゃいけない行革というのはこういうことだと思うんですね。正に、政府の公共調達、ここにいろいろな無駄があります。まだまだ削れるところがあります。例えば、あと一〇%この電子競争入札を入れるだけで削れます。そこで浮いた貴重な貴重な税金を、例えば子育てとか、あるいは医療とか、必要なところに振りまける。それからもちろん、これだけの借金が国及び地方で抱えられているわけでありますが、そこの返済に充てていく、あるいはそうしたプライマリーバランスの適正化に使っていく、こういうことをしていくのが私は本来の行政改革だというふうに思っておるわけでありますし、私どももそういう方針で民主党対案を出させていただいているわけであります。
そこで、今回の質疑に当たりまして、私は是非このことをきちっと議論をしたいなと、こういう思いで事務方の方々といろんな議論を始めました。
しかし、そこでまず議論をしたいなと思ったことは、この日経の更にその後に、国と地方合計の公共調達額は三十六兆円だということであります。
それで、ここから日経のいろいろな類推といいますか、累計といいますか、前提条件を置いた試算が始まるわけでありますけれども、国の直轄工事のデータから推計すると、約半分が指名競争入札、十八兆円ですね。だから、ここは指名競争から一般競争に変えられると。それが九五%だから、要するに、下関にしても横須賀にしても大体八五まで来ていますから一割カットできると。したがって、十八兆円の一割、一・八兆円、要するに約二兆円が浮く計算だと、こういうシミュレーションをしています。それで日経は、これは机上の計算と言い切れるだろうかと、こういう非常にいいプロポーザルといいますか、問題提起をしていただいているわけであります。
こういうことを、これは日本経済新聞がいろいろな前提を基にやったわけでありますけれども、私は、例えばこういうことについての試算を政府からきちっと聞きたい。政府なりに、あるいは政府は圧倒的な情報を持っておられますし、それからそれを調査する権限も持っておられるわけでありますから、しかも今回、正に行政改革推進本部というものがつくられているその意味は、こういうことを国及び地方、あるいは各省庁にまたがる話を全部統合して束ねて、これが三十六兆円なのかあるいは三十七兆円なのか、あるいは三十四兆円なのか、そしてその中で、一般競争入札でこの部分がこういうことができるという、そういう議論を持って私は今国会に臨まれているはずだと思って伺ったところ、結局こういう数字は全然把握されてないんですね。
少しだけ総務省を持ち上げておきますと、地方の分についてはそういう総計がございました。だから、地方分について、例えばこれと同じようなことができれば、総務省からいただいた数字に一割掛けていけばそういうことが出てくるんだなということは分かりましたが、肝心の国の部分ですね。で、これについては結局、私は、行革推進本部の皆様方は本当に一生懸命頑張っていただいていると思いますし、その御努力については多としますけれども、結局、従来の役人のおきてに従ってやっぱりまだ仕事をされていると。すなわち、いや、その話は財務省ですと、あるいはその話は国土交通省ですと。で、今度国土交通省に行くと、結局この話を私たち事務所でいろいろ担当の方に、いや、私はこれは行革推進本部の特にこの分野の方にお伺いをすれば、お一方来て、補佐の方ぐらい来ていただいて、そこで議論すれば話が付くんだと、こういうふうに思いました。私も霞が関離れて七年になりますから、縦割りぶりというのは大分直っているだろうと、小泉政権になって特にこの五年間で大分直っているだろうと思ったら、全く直っているどころか悪化しております。
この三十六兆円、あるいはそれを、この今の日経の出された机上の計算を、議論を深めるのに結局延べ二十人を超える担当官が入れ替わり立ち替わり来て、それで最後結局、政府の、特に中央政府のいわゆる公共調達については全貌は分からないという状態なんです。財務省の方にも来ていただきました。しかし、財務省が把握しておられる数字は結局国際的に入札のところで評価をしている政府調達に係る部分、ここはもちろん把握をされているということは分かりました。しかし、皆さん二十数名を、来られる方を、全部足しても三十六兆円にならないんですね。結局やっぱり例えば公益法人のところが抜けていたり、それから一定水準以下の入札の部分についてはだれも把握していなかったり、まあ要するにこういう問題提起をしても数字すら把握していないと。
そういう問題は従来から指摘をされておりましたけれども、今回この法律を出す、しかもわざわざ行政改革推進本部というものをつくってこの議論に臨む以上、やっぱり私は、そこを変えることが私は最大の行政改革だと、こういうふうに改めて痛感をしたわけでありますけれども。本当にこの縦割り弊害除去と、ここからやらないと。どんな法案を出してきても、あるいはどんな審議を重ねても、私は建設的な議論というのは深められないと。まして、この法律ができてそれを実行していく、前回も松井議員が中央省庁再編のときにいろんな議論をしたと、で、いろんなメニューが出た、しかし十年たってみて何も変わらなかったではないかと、これも二の舞になるんではないかという問題提起させていただきましたが、正にそのことを私は懸念をするわけでありまして、正にこの縦割り除去の問題、官房長官あるいは行政改革推進本部の担当大臣であります中馬大臣、それから良くも悪くも縦割りの弊害を常日ごろ感じておられる財務大臣から御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋三君)
ただいま委員が御指摘になった縦割り行政は、正にこの改革を進めていく上においても大きな弊害であるのも事実であります。また、国民生活を向上させていく上において、この分野はこの役所ですよ、この分野はあの役所ですよと、こう言われても国民にとっては全く関係ないわけでありまして、いかに国民の要求にこたえるために柔軟に対応できるか、あるいは包括的に総合的に判断をしていくか、政策を立案をしていくかということも重要であると、こう思っております。そのためには、この縦割りにしっかりと横ぐしを刺しながら、ある意味では突破口をつくっていかなければならないと、こう我々考えております。 その中で、例えば、いわゆる特命担当大臣を置きまして、少子化対策あるいは防災、今度の行革、それぞれの担当大臣が縦割りに関係なく政策を中心に、これは各省の壁を取っ払って政策をしっかりと立案をし、実行をしていくということを目指しているわけであります。また、経済財政諮問会議あるいは総合科学技術会議等を利用いたしまして、総合的な企画調整を可能といたしております。また、各府省間の人材交流も、当然これは行うことによって意識改革も目指していきたい。 まだまだ不十分な点がございますので、内閣官房としてリーダーシップを発揮をして、そういう意味において、このセクショナリズムをこれは払拭をして、なくしていきたいと、このように思っております。
○国務大臣(中馬弘毅君)
行政改革でございますが、まず行政の無駄を徹底的に省くこと、そして民間の主体的な、主体性や自律性を高めて、その活力が最大限に発揮され得る、この環境を整えていく、それが今回の大きな目的ではございますが、この御指摘の縦割りでございますが、この縦割りにつきましても、今回、まあ過去のことはともかくといたしまして、今これから進めようとしていることの中にはその弊害の除去にもかなり資するものがかなり入っております。 政策金融をああしたそれぞれの主務官庁から外してもうまとめてしまうということも、これは主務官庁の恣意的な要求がそこに反映されることがなくなるわけでございますし、また公益法人にしましても、これまたそれぞれの主務官庁がはしの転んだところまでも関与しておったと言われておりますが、そういったことも外れるわけでございまして、かなり官庁が自分たちの権益といいましょうか、それをしっかりと守って、またそれが一つの指導方針であったかもしれませんが、その中で生じてきた、今御指摘のような、無駄であったり、あるいは非常に随意契約の問題点、そういったことも、こうしたこの今回の改革が進められることによって、かなりの部分は私は除去される一つの方向ではあると思います。 しかし、それぞれの省庁が発注する公共投資や、あるいは物品購入の中でこうした問題があって、生じているわけですから、これはやはり行革本部としても全体的な見通しで、これをいい形で私は安倍官房長官がおっしゃいましたような形で指示していく必要があろうかと思っております。
○国務大臣(谷垣禎一君)
財務大臣として申し上げますと、御承知のような極めて厳しい財政状況の下で、仮に省庁の縦割りで限られた財政資金が有効に使われていない、そこに無駄があるというようなことがあれば、これは国民に対して財政構造改革の必要性を説くことができなくなってしまうという気持ちが私にございます。 予算の面で省庁の縦割りをどう排除していくかというのは、例えば平成十六年度からいわゆる政策群というようなものを作りまして、一人の主計官の下に省庁横断的に査定をするとか、あるいは科学技術予算でも、優秀な研究者の下にその研究費が集まってきてしまって全体としてどれだけ研究費が行っているのかなかなか分からない仕組みにあったのを、総合科学技術会議の下でいろんな仕組みを作っていただこうとか、幾つかその取組をしてまいりましたけれども、今後ともそういう取組を徹底させて、省庁の縦割りの無駄を排除していくというのが財務省としても大きな役割だろうと思っております。
○鈴木寛君
今回の政府案と民主党案のやっぱり決定的な違いというのは、正に政府調達というか、あるいは公共事業も含めて、正にそこの契約あるいは入札事務の適正化というところ、これが要するに本丸のところだと私たちは思っているわけですね。そこについて今、中馬大臣御答弁ありましたけれども、確かに政策金融あるいは公益法人、まあそれは多少その改善が見られるかもしれない。しかし、一番大事なのは中央省庁そのものですよね。
例えばそれは、人件費が例えば委託費に変わったって、それは本質が変わらなければ同じなわけですね。一見、政府は人件費改革ということは言っています。そうすると、今やろうとしていることの種を明かせば、人件費だったものを委託費に変えて、あるいは調達に変えて、そしてそちらの方は手を付けずにと、こういうふうに見られてもしようがない。
なぜならば、我々は今回、官製談合の防止とか契約事務の適正化ということで、そこについて条項をきちっと設けてやっております。しかし、政府案は、政府系金融機関の話とかあるいは人件費改革の話はあるかも、そのことは我々も重要だと思っています。しかし、正に中央省庁、本丸の部分のその業務見直し、あるいはその仕事の適正化ということについては、私はこれ全く空文で出されてきている法律だということは言わざるを得ない。 それが証拠に、例えば政府調達の在り方を見直すと、そのことに二十名以上の、恐らくその担当係とか担当係員とかを入れれば恐らく百名近くの人が、あるいは各省庁の会計課の人というのはほとんどそういうことに携わっているわけでありますから、膨大な人たちが縦割りの中でこの問題に携わっているわけです。
これも前回、松井議員の質問の中で、結局、三位一体の中で減った役人は何人ですかと、二年間で四十七人でしたという話がありました。例えばこの調達行政について見直すだけで、恐らくこの数十人、数百人の人たちがこれ合理化されると。
とりわけお願いを申し上げたいのは、財務大臣が政策群を設けて、特にその一つの主計官がやっているというお話がありました。それは半分正しくて、いわゆる公共事業については公共事業係とかがずっとありますから、従来の農林省とか国土交通省とか、あるいはそういうところを束ねて公共事業費についての統一的な管理と査定をやっていますね。
で、両大臣にお願いをしたいのは、正にその政府調達について、政府調達についてそれをきちっと統合的に、中央省庁分について統合的に管理をし、そして査定をし、そしてそこに一定のその方向性を示していくというこの仕組みというのは、今回改めてやっぱり必要だと思いました。
そのことが、先ほども少し議論がありましたけれども、例えばIT調達、これだけだって三兆円あるわけですよね。私も相当深く関与いたしておりましたから、この実態がいかに無駄が多いかというのを、ここで一々申し上げませんけれども、相当やっぱり削れると思います。例えば、九五%だったというものが、私はこれ、八五はもうもとより、七五とか五〇とかでいけるものはあるわけですね。現に、例えば国土交通省は今回非常に協力的にしていただきまして、各落札率、全部見せていただきました。そうすると、特にIT調達については五〇%を切るものがやっぱりあるわけですよ。 だから、そういうことをきちっと、一個一個、一つ一つ丁寧に見ていくと、かなりやはりここの問題というのは浮き彫りになるということで、是非これを機に、公共調達、特に中央省庁の政府調達についての見直しの体制ということは是非検討をしていただきたいと思いますが、もしも御答弁あればお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君)
工夫してみたいと思います。
○鈴木寛君
是非そこはお願いを申し上げたいと思います。
それと、今回の政府案で問題だなと思いますのは、いろんなところで仕切りという、仕分という言葉が出てきます。それから、様々な担当大臣の方々が答弁に立たれて、国民生活上こういう問題ありませんか、ああいう問題ありませんかということを一つ一つ確認をさせていただくと。そこは正にめり張りを付けて、必要なところにはきちっと手当てをし、そしてそうでないところは無駄を削る。その総論は我々も大賛成でありますけれども、じゃ一体、どういう部分はめりを付けて、どういう部分は張りをするのかと。ここの方針というか、ビジョンといいますか、基本理念というのが見えてこない。
正に、政府は簡素で効率的なということをおっしゃいますが、例えば、私たち民主党はその第二条の基本理念の中で、正にゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会、ここの部分はやっぱり重点を大事にしていかなきゃいかぬ、あるいは格差の縮小を図って国民の不安や不公平感を払拭すると、こういうある種の価値観について、我々はメンションして法律を出させていただいておりますから。
そういう意味で申し上げると、政府の案というのは、そういう意味では価値中立に、もちろん簡素効率というところは見えてきますけれども、政策分野のウエート付けといいますか、そこのプライオリティーといいますか、そこについて見えてこない。これであれば、従来財務省が行っている査定でありますとか、あるいは総務省が行っておられる機構、定員の管理とこれは変わらないんじゃないかと。今までだって簡素で効率的なことは査定の中でやってこられたはずでありますし、そうでなければまた困るわけでありますけれども。
この法律が通ることによって、今までのそうした査定と今後の査定と何がどのように変わっていくんでしょうか。財務大臣、そして総務大臣から御答弁をお願いを申し上げたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君)
予算の査定は財務省の視点から無駄を省く、効率的なところに資金を流していくと、こういう観点から査定をしてきたと思います。 それで、今度の仕分という手法が取り入れられておりますが、この仕分でやっていただくことは、まずその当該事業官庁といいますか、その政策を推進していく官庁が、自ら自分のやってきた仕事をもう一回厳格にふるいに分けてもらいたいということだろうと思います。 それで、そこに価値が中立的でないかというふうにおっしゃいましたけれども、これはやはりそれぞれの分野、多様でございますから、全部の分野に向けてこうだと言うのはなかなか私は言いにくいんじゃないかと思います。それぞれの政策立案官庁がやはりきちっとその価値観を立てていただいて、私どもはそこに無駄があるのかないのかという観点から緊張感を持って査定していくということではないかと思います。
○国務大臣(竹中平蔵君)
定員、人員についての査定、総務省でありますけれども、今回の仕組みで何が変わるかという点に関しましては、是非二点の点において変えていきたいというふうに思っております。 一つは、明確な純減目標をやはり設定したということ。これは御承知のように、これは初めてのことでございます。しかも、それを年々の定員査定で一・五%、そして加えて、更に大どころを踏まえて、更に三・五%別枠でやるというその仕組みも決めました。これを是非しっかりとやっていくというのがやはり重要な点だと思っております。 二点目は、これは内閣官房で民間人から成ります行政減量・効率化有識者会議というのがございます、飯田座長の下ですけれども。そこの知見も活用して、先ほど委員がおっしゃった仕分も踏まえた点検を行うというところ、その民間人の知見も活用するというところがやはり新しい点であると思っております。 当然、行政ニーズは変化します。廃止すべきは廃止する、民間にゆだねるべきはゆだねる、地方が担うべきものは地方にやると、そういうことをやっていくと。それによって、正に事務事業の見直しの結果を踏まえて、機構、定員についてもめり張りを是非付けていきたいというふうに思っております。
○鈴木寛君
私が伺いたかったのは、正に行政ニーズは変化をすると。しかし、じゃ、どういう行政ニーズに対して積極的に取り込み、そうでない、要求官庁はみんなニーズがあると言ってくるわけですね。しかし、そこに正にそのめり張りを付けて査定をしなきゃいかぬと。
そうすると、今の御答弁で分かったことは、財務省、総務省は結局従来どおり、もちろん無駄を省くという観点は今までもやってこられたし、そのことをよりちゃんとやっていくということは分かりましたけれども、行政ニーズの軽重については別にこの法律で変わるわけではないと、こういう御答弁にしか聞こえなかったというふうに思います。
それで、与謝野大臣が、大分お待ちをいただいて済みません、私の質問の中でお呼びをさせていただいたわけでありますけれども。
そこで、行政ニーズあるいは社会ニーズの中で我々は大変大事だと思っているのは、やっぱり安全の問題、それからやっぱり格差問題というのは今国会の重要な課題の一つでありますけれども、先日もこの委員会で小泉総理が、日本は中国より格差が少ないと、こういう御答弁をされました。これ、どういう根拠とデータに基づいて言っているのか。
それと、恐らくそれは西部の格差と沿海部の格差という御答弁をされるんですけれども、そもそも日本の格差問題を議論するこの国会で、要するに発展途上段階の国でそこに跛行性がある国内の格差を抱えている中国の問題と、今ここで議論している我が国、成熟した先進国の中で、その中での正に格差問題、それと活力の問題というのを議論しているこの国会と、中国の問題をああいう形で引用するということが果たして適切なのかどうかと。そこも含めて、大臣、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(与謝野馨君)
まず、中国と比較したことが適当かどうかということですが、委員御指摘のとおり、いろいろな国と比較する必要がある、その一つの中に中国が入っても私はいいと思っております。 日本の社会は、通常の自由主義経済社会あるいは市場経済をやっている国々に比べまして、所得税制あるいは社会福祉政策を通じて、またその他の中小企業政策を始め、いろいろな政策はすべて格差を少なくしようという政策だろうと私は思っておりますが、そういう意味では政策自体あるいは制度自体は格差をなくすという方向ですべて私はつくられていると思っております。 特に考えなければならないのは、非常に不況な時代に就職をせずにそのまま定職のないままおられる方々、こういう方々は、望むべくは、いろいろな会社の正規の社員になっていただけるようなチャンスをやはり政治がつくるということは大変大事なことだろうと思っております。
○鈴木寛君
是非、与謝野大臣はきっての経済通でもいらっしゃるので、総理に、中国を例に出して格差問題を語ることの社会にいかに悪影響を与えているかというのは是非諭していただきたい。そのことは是非お願いをしたいと思います。本当に議論の混乱を招く以外の何物でもないんですね、この中国を格差問題で引き合いに出すと。
そこで、私たちは行政ニーズの中でやっぱりめり張り付けていかなきゃいけないと思います。今、与謝野大臣はいろんなところに格差是正をしなきゃいけない、それは私もそうだと思います。特に政治というのは格差の、特に少なくとも機会の均等は、そのスタートラインから違っていることをそれがあってもいいじゃないかとおっしゃる総理は世界じゅうにただ一人ですよ、小泉総理。恐らく政治というのは、やっぱり少なくともスタートラインだけはどんな環境に生まれてもどんな地域に生まれてもそれはチャンスイーブンじゃないといかぬと、これを失ったら私は政治じゃなくなると思いますが。
そういう観点でどうしても、今日冒頭、私は縦割りということを申し上げました。縦割りの弊害はやっぱり横並びなんですよ。結局、予算でもあるいは機構、定員でも、要するに一律に削られるならまだ涙をのみましょうと。例えば、今でもそうだと思いますけれども、以前の通商産業省と郵政省、これ、VAN戦争とか情報関係で争っていました。そうすると、通産省が一千億要求したら郵政省も一千億、その中身がどうあれ、ということはもう終わっていると思ったら、結局やっぱりいまだに続いているというのはそれは実態だと思います。これは答弁要りません。
しかし、やはりここで政治主導のめり張り、やっぱりあるべき姿をきちっと提示をしてそこに向けて有効で、かつ限られた資源配分をドラスチックにやっぱりかじを切っていくということが求められているわけで、そういう中で、今日は厚生労働大臣と文部科学大臣にお見えいただいていますが、私はやっぱり命を守る医療の格差、これは絶対あってはならないと。これは簡素あるいは効率をはるかに上回る極めて重要なかじだと私は思っておりますし、そのことを少し質問をさせていただきたいと思いますが、産婦人科医あるいは小児科医が足らないという問題でございます。
正に極めて過酷な過剰労働の状況、それから、産婦人科の方々は数ある診療科の中でも極めて訴訟のリスクが高いということ。加えまして、先日は、三月十七日の日に私も厚生労働大臣のところに福島県立医科大学の佐藤先生をお連れをさせていただいて、周産期医療の崩壊をくい止める会の皆様方と議論をさせていただきました。お時間を本当にお忙しい中つくっていただいたことは感謝いたしますけれども。そして、厚生労働大臣もこの問題の深刻さということは共有していただいたというふうに思っております。
例の福島県立大野病院の事件が起こってから、訴訟リスクというのは単に民事訴訟のリスクだけではなくて正に刑事訴追をされるというリスクもあって、そして河北新報社がアンケートをされました。東北六県九十一の病院でもう既に十二の病院は産科をやってないと。そういう意味で、七十九の病院の中でやっぱり六十三か所、正に八割に及ぶ病院でやっぱりこの事件、今までもそういうふうな訴訟リスクあるいは過剰労働と。
例えば、北海道大学では年間の当直が百二十三回です、北大の医局の関連の勤務を支える。で、当直明けは休みを取れる人はゼロということですから、要するに三十六時間ぐらい連続で勤務をしなければいけない日が年間に百二十三回あるということですね。しかも、五十二週の中で三十七週は土日勤務されているというような過酷な状況。そこに例の事件が正に更に火に油を注いだと、こういう状況かと思いますけれども、そういう中で正に八割のところが影響が出ている。
例えば、秋田県のある病院では大量出血が予想される症例はもう扱わないと。あるいは福島のある病院では訴訟を起こされるような症例は扱わない。岩手県、秋田県ではハイリスクな医療はこれはもうたらい回しにせざるを得ない、あるいはリスク回避のために帝王切開必ずしもしなくていい症例についても安全を見て帝王切開をするようなケースが増えていたとか、それから現に十三か所の病院から医師を派遣していたのをもう引き揚げると。要するに、産婦人科一人体制の病院で事故が起こりましたから、結局これは、産婦人科学会もやっぱり三人以上体制にしようと。そういう意味では集約化しないといけないわけですね。これ自体はやむを得ないことだと思います。しかし、集約化をすると結局はより遠いところに妊婦さんが通わなきゃいけないと、こういうことになるわけでありまして。
で、何とワシントン・ポストも、この日本の産婦人科医が足らなくて、そして、これはワシントン・ポストが報じたのは隠岐島の事例でありましたけれども、そこの妊婦の方々が、あるいはほかの民放でも、沖縄の例とかいろんな全国各地の例がもうこの二、三週間続々と、そうした困っておられる妊婦の皆様方の、正にこれ社会問題化をしている現状が報じられております。そして、そういうふうな現状を見て若い医師たちも産婦人科はもうやめておこうということで、産婦人科の医局に入局する若い研修医さんがどんどん減っていると、こういうことになってきているわけであります。
それで、今回の行政改革推進法の中で、私は、時間もないので先を急ぎますけれども、こうした正に産婦人科を中心とする、小児科も同じような状況です、日本の医療現場、特に地域の医療現場が大変危機的な状況にあります。こういうときこそ、私は公がこの危機を打開するために、回避するために頑張らなければいけないと。そういう意味では市町村立とか県立の病院というものが本当に重要だと思うんですけれども。じゃ今回の行政改革推進法の中でこうしたことが大丈夫なのかと、大変に私は懸念をせざるを得ないというふうに思います。
これも、そういう議論をしたいと思って、じゃ、その産婦人科、小児科の方々が、あるいはそうした患者の推移がどういうふうになっていますかと、議論しましょうということを申し上げたら、国立大学附属病院は文部科学省、旧国立病院、今は国立病院機構になっていますが、それは厚生省、そして地方病院は総務省と、こういうことになっているわけでありまして、ここも統一的な議論ができない、総数についての数字は教えていただきましたけれども。
で、厚生労働大臣に質問でありますけれども、正にこの産科、小児科の問題、この行革推進法が出たら私は悪化すると思いますが、大丈夫ですか。これどういうふうに手当てされますか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君)
医療をめぐる問題、産科、婦人科の問題、小児科問題、随分多岐にお話をいただきました。まず、数字ということでございますから、最初に数字を申し上げますと、産科、産婦人科、平成六年一万一千三百九十一人、平成十年一万一千二百六十九人、平成十六年一万五百九十四人でございます。小児科につきましては、平成六年一万三千三百四十六人、平成十年一万三千九百八十九人、平成十六年一万四千六百七十七人、そして今年二年間の研修を終えられた方々がどのような専門科目を目指されるかと。この数字、まだ生データしか持っておりませんので最終数字は申し上げられませんけれども、産科、小児科についても激減をするというような数字ではない、割合いい数字が出ているということは事実でございますので、ここは御理解を賜りたい。
それから、福島県の事故の問題、一緒に聞いていただきましたからお分かりのとおり、集約化をする途中において一人しかいなかった医師のところで起きてしまった誠に残念な事件でございます。その後、今度は警察当局が直接入られたというようなこともありまして、医療現場が混乱をいたしたことも事実でございます。
その中において、私ども、こうしたものに対応するのをどうするかということで、今様々な議論をさせていただいて、これは厚生労働委員会等でさせていただいておりますけれども、いずれにせよ、すぐ警察と医療現場ということにならないように、その中間的なものが、特に第三者的な機関というものをしっかりつくって、委員が御指摘いただきましたように、何で産婦人科医になる人が少ないのか。
一つは、先ほど申し上げましたように、徐々に減ってきています。減ってきている最大理由としては、やはり子供の数が少ない、これが第一であろうと。もう一つは、何といっても訴訟等のリスクが余りにも大きい。それから三番目は、いつ子供が産まれるか分からぬという中で、二十四時間体制をどんなお医者さんでも、産婦人科医でも取っておかなきゃならぬ。したがって、やはり三人、四人が集結いたさないと、八時間、十分に休めないという話が生じてきます。こういった問題全体をやはりきちっと解決をしていかなきゃならないと。そういう意味では、集約化という議論をさせていただいております。
一方で、先ほど北海道の話をいただきましたけれども、北海道の医大等で研修を終えられた人たちの数は少のうございます。減りました。大学現場から減りましたけれども、一般の民間病院、施設が整って研修体制ができたところの医師の数は増えてきておりまして、結果として、この二年間、研修を終えた結果として四十人ぐらい北海道は増えているというのが現実の姿でございます。そういった意味では、もうかつてのように大学の先生がコントロールしてお医者さんをこうやって派遣するという時代ではなくなったですね。
そこで、北海道は、お考えいただいておりますけれども、知事さんと大学の学長さんと、それから医師会の方々でトータルネットワークをきちっとしながら医師というものをしっかり確保していかなきゃならぬ。確保する中で、今言われたように、やはり過疎地等へきちっとした医師の派遣というものも考えていかなきゃならぬ。地域のネットワークづくりというのが一番大事であろうと。そういった動きをさせていただいているところでございます。
各知事さんと随分私もお話合いを持ちましたけれども、今知事さんから受けている手ごたえ、一つは集約化を図らなきゃならない。また、例えば青森とか秋田の大学ですと、百人定員があるんです、百人医師を毎年つくられているわけですけれども、現実問題は、大学六年間を終えると研修もしないで東京へ五十人戻ってしまう。こういう状況でございますから、やはりもうちょっと、小坂文部大臣にもお願いして、やはり地域の人を優先に、青森では青森の医療に役立つお医者さんを育ててほしいということを少し申し上げていかなきゃならぬだろうと。そういう意味では、文科省ともしっかり連携を取りながらやっていかなきゃならぬと。そして、手ごたえといたしましては、やはり各知事さんが集約化へ向けて、そして我々も知恵を出しながらやらなきゃならないということでございますし、また、言われましたとおり、連休中も様々な御指摘をいただきました。しっかり踏まえながら、医療というものが充実するように私どもしっかり頑張ってまいりたいと、こう考えております。
○鈴木寛君
是非現場をきめ細かに確認をしながら進めていただきたいというふうに思います。決して机上の数字合わせにならないように、大臣相当頑張っていろいろ調べていただいていることは大変感謝をいたしますけれども、引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。
それで、例えば教育とか医療とか、こうしたソーシャルヒューマンサービスの在り方について、今回人件費の改革と、こういうことで法案の非常に主要なメッセージがあるわけでありますけれども、この政府案で私少しクエスチョンなのは、そもそも国民の皆さん、いろんな立場があるわけで、納税者の立場あるいは受益者の立場と。そうすると、納税者の立場としては、税金はなるべく払うのは少ない方が、あるいは払ったものはより効率的に使われる、これは非常に当たり前だと思うんです。一方で、そうした医療とか教育のサービスの受益者としては、それはそのサービスのクオリティーは高い方がいいと、こういうことになっている。サービスのクオリティーというのは、つまるところ、それに携わる人の能力と、そして意欲と、そしてやっぱり数、これの私は掛け算だというふうに思います。
そうしますと、私たちも総人件費を減らすべきだということは申し上げています。それは納税者の観点から当然なことだと思いますけれども、政府案は、人件費総額というよりも、人員のところを政策の指標にしておられるというふうに読めるわけですね。もちろん総額についてメンションしているところも私は承知しております。
例えば、政府案は五%人員を削減すると、こういうことを言っておられます。一方で、我々は人件費総額を削減すると、こう言っています。人員だけへずるといわゆるサービスのクオリティーは、能力、より良い能力の高い人、あるいは意欲を発揮する、こういうことは当然マネジメントによってやっていかなきゃいけないわけでありますけれども、しかし能力高い人を確保するとかいうことを考えたときに、あるいはいかに能力高い人であってもやはり今の小児科医の例で、あるいは産婦人科医の例でお分かりいただけたように、一定程度のやっぱり人員というのはサービスのクオリティーと極めて高い相関関係にあるわけですね。そういう中で、人員にだけ着目をしてそこを減らせばいいんだと。むしろここは人件費総額じゃないかと、こういうふうに私思うわけでありますけれども、なぜ、そのことについての議論を伺いたい。
それからもう一つ、これ以前から私疑問で、この際是非お伺いしてみたいわけでありますけれども、この非公務員型の独立行政法人にすると、これは簡素で効率的な政府の実現に資するんだと、こういうおっしゃりようがあります。しかし、公務員を非公務員にするということは、単に人件費分で出していたものが交付金に替わるだけですよね。交付金としては引き続き税金を投入しているわけですね。そうすると、果たしてそのことが、いわゆる行政改革という観点から見たときに、独立行政法人化というのはそれ以外にもいろいろな、ガバナンスの観点では様々なメリットがあることは私たちも認めておりますし、それは分野によりますけれども。そうしたときに、政府はこれ非公務員化独立行政法人というのを金科玉条の打ち出の小づちのようにおっしゃるんですけれども、そこも何かそもそも論に立ち返ると私は違和感があるわけでありますけれども、改めてこの点、どういう方針で今回の法律を立てておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中馬弘毅君)
これは日本の国全体の、人口減少社会にも入っておりますし、そして官がこのままの状況では大変国民の負担も重くなってくるわけですから、これを減らしていくという意味でこの行政改革、人員削減純減を図っております。それと今委員が御指摘のこのサービスの問題とはちょっと異質でございまして、まず、だからサービスがなおざりになるんだという形に私はならないと思います。ともかく、この今回の定員の純減の取組につきましては、国の事務及び事業の行政需要に照らしてめり張りを付けつつ、先ほど委員おっしゃいました、積極的に見直しして効率化のための工夫を行いまして、必要最小限の人員で必要な行政ニーズに対応、応じ得る体制を構築するものでありまして、公務サービスの質を落とすというものではありません。
今のお話になりましたそうしたことも、直接何か公務員がやるか、あるいはまた、それが民間の方に移管して民間の方でその実務をやっていただくか、そうしたことの一つの仕分がこれから始まるわけでございまして、これがイコール五%削減いたしますとサービスが低下するということには必ずしもつながらないと思います。
○鈴木寛君
そこが全く違うんですね。私の理解しているサービス業の概念というのは、先ほど申し上げたように能力掛ける意欲掛ける人員だと。そこで人員が五%明白に下がるわけでありますから、それを上回る能力の増加と、それを上回る意欲の増加をもってしても、やはりそれはサービスの低下は免れないんではないかということを申し上げているわけで、今の大臣の御答弁では全然見解が違うと。
○国務大臣(中馬弘毅君)
公務員の数を減らすということが五年で五%というそのはっきりとした数字目標でございます。しかし、市場化テストで、その手段としまして市場化テストも一つの方法でございましょう。そうしますと、これは民間がやるわけでございますから、民間の方が逆にサービスがいい場合だって十分にあり得る。そういうことの方を選択するのが今回のこの行政改革の市場化テスト法案でもございますから、そういうことでサービスとこれとは必ずしも一致しないということをあえて申し上げた次第でございます。
○鈴木寛君
小坂大臣にお伺いしますが、必ずしも政府ではなくて、要するに公的ではなくて民間がいいと。そうすると中馬大臣は、義務教育民営化論ということになってしまうのかもしれませんが、現実問題として、その議論はおいておきまして、時間がありませんので。
明らかに今回の行政改革推進法で第八次定数改善計画が流れました。本来、第八次定数改善が行われていたのであれば一万五千名の五年間での増員、しかし、現に来年度で一千名の減で、五年で九千名の減がこのまま行くと推定されます。で、さらに、その八次定数が流れるどころか、今回の行政改革推進法の五十五条の三項で明示的に、政府及び地方公共団体は、児童及び生徒の減少に見合う数を上回る数の純減をさせるために必要な措置を講ずると、要するに教職員定数について。
で、これは明らかに先ほど私が申し上げた正に教育サービスの担い手であるその数を、もちろん能力を上げるという観点、あるいは意欲を上げるという観点は必要だと思います。そのことはもちろん共有させていただいていますし、しかしその能力の点も今度五十六条の三項でいわゆる人材確保法についても廃止を含めた見直しと、こういうことになる。
そうすると、五十五条の三項と五十六条の三項がどういう結果をもたらすかというと、まず能力のある人が採用できる可能性は五十六条の三項によって減ぜられるわけですね。そして、人員は五十五条の三項によって減るわけですね。これでもって必ずしも、今、中馬大臣は行政サービスが減ずるとは思われないとおっしゃいましたが、私は大いに減ずるというふうに思わざるを得ません。
さらに、これ時間がありませんのでお伺いをしますと、これによって結局、設置者は市町村です、どういうことが起こっているかというと、要するに純定員を増やせないと。既に非常勤講師がどんどんどんどん増えているんですよ、非常勤講師が。これ、非常に教員のその体系に物すごいいびつな構造を持ち込んでおりまして、例えばこれは馳副大臣がこの前の文教科学委員会で御答弁いただいたんですけれども、馳副大臣も正規職員だったのが途中で非常勤職員になってしまわれて大変御苦労されたという、本当に御自身の御体験に基づく大変に我々も傾聴すべき答弁がありました。正に非常勤講師化というのはそういう問題をはらんでいます。
さらに、四月二十八日に政府がお出しになった教育基本法の改正案第九条で「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」。で、「前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。」。これは大いに結構なことですが、しかしそのこととこの行政改革推進法は真っ向から矛盾するんじゃないかと。
こういう問題について、私は教育現場に深刻な悪影響をこの二つの条項は及ぼすと思いますが、文部科学大臣、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(小坂憲次君)
鈴木委員には委員会、文部科学の委員会でも御質問いただいております。その際にもお答えを申し上げているわけでございますけれども、今回の行革推進法は教育の現場に深刻な影響を与えるんではないかと、これが、今いろいろ御指摘をいただきましたが、総括すればそういった点に集約するのかと思うわけでございますが、私はこの法案の法律の適用に際しては、教育の実施に当たっての根幹である標準法対象の教職員数の純減については、基本的には児童生徒の減少に伴う自然減によるところといたしまして、この教育条件を悪化させないようにすることが私の使命だと思っております。 また、学校が抱える課題が多様化、複雑化している中で、優れた教員を確保することは最重要課題でございますから、人材確保法の精神は維持した上で、めり張りのある給与制度の構築に向けて十分に検討していくことが必要なんだろうと、こう考えておりまして、この大変難しい二つの命題の中で、文部科学省としては、教育の質の向上が強く求められている中での教職員の職務と責任の特殊性に十分配慮して、あくまでも教育水準の維持向上という視点を忘れることなく行政改革に適切に対応していきたい、このように考えているところでございまして、この法律の中で言っております、特にいわゆる標準法定員の部分と「その他の職員の総数について、児童及び生徒の減少に見合う数を上回る数の純減をさせるため必要な措置を講ずるもの」ということと人確法との関係をこのような考え方で調整をしてまいりたい、このように考えております。
○鈴木寛君
今の答弁は全く私、理解できません。
時間が来ましたので、この問題は引き続き議論をさせていただくということで、今日の 質問を終わりたいと思います。