2006年2月1日 予算委員会
〜子どもの安全対策、教育費と医療費のあり方〜
○鈴木寛君
民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
冒頭、改めて中川農林水産大臣の閣議決定違反問題について伺います。
先ほどの総理の答弁では全く納得できません。小泉総理自身が、公約を破ろうが大したことないと公言して以来、日本中の至る所で約束違反、ルール違反が横行し、専門職のモラル崩壊が起こっています。証券取引法違反、牛肉輸入で開き直り会見をした米国農務省のペン次官、そして閣議決定違反の中川大臣、これ、みんな小泉総理と同根であります。
閣議決定という文言が条文に含まれている法律はですね、百二本あるんです、百二本。その中には、自衛隊の出動や派遣を閣議決定で決めているというイラク特措法、テロ特措法、周辺事態法なども含まれます。今回のように、一閣僚の恣意的な判断で閣議決定が変更できるということをいったん認めれば、我が国の自衛隊に対する文民統制すら危うくしかねません。現に防衛庁の幹部は刑法すら守っていないわけでありますから、閣議決定はなおさらです。
正に、今回の問題はこの国の統治構造を根底から揺るがす大問題ですが、中川大臣にも、そして総理のさっきの答弁にも、閣議決定の誠実かつ忠実な遵守は閣僚としての極めて重大な任務であり義務であるという基本認識が欠如しています。
改めて、今回のことを中川大臣、国民の皆さんに陳謝をしてください。
○国務大臣(中川昭一君)
言うまでもなく、閣議決定に閣僚が拘束されるというのは言うまでもないことでございます。
おとといの件につきましては、先ほど安倍官房長官が御説明申し上げましたとおり、今回の十一月十八日に閣議決定された川内議員の質問主意書に対する答弁、これは閣議決定された答弁でございますけれども、これについては私並びに厚生労働大臣は反していないというのがこの政府統一見解でございます。ただし、質問をいただきました川内委員、そして政府として、お答えをいたしました院、この場合、衆議院でございますけれども、これに関しましては、状況が変更をしたということについての十分な説明がなかったということについては総理からも御注意があったところであり、私も現在、農林省内で調査をしているところでございますが、改めて院並びに、そのことにつきまして国民の皆様にはおわびを申し上げたいと思います。
○鈴木寛君
私は、誠実かつ忠実にというところを伺っているわけでありますが、お話にならない。この問題はあした以降、同僚の蓮舫議員がしっかりとやらせていただきますので、御承知おきください。
そして、こうした大問題に対して昨日、自民党の武部幹事長は、野党が質問主意書の数が多い、野党からのこれを制限すべきだというとんでもない発言をされています。言語道断です。であれば、我々は全法律について審議時間を倍要求しますよ。
安倍官房長官、この件について政府の陳謝を求めます。
○国務大臣(安倍晋三君)
まあ質問主意書制度はですね、もう言うまでもなく国会法に基づく議員の権能であります。政府としては、議員から提出された質問に対しては、制度の本旨にのっとり誠実にお答えすべきものと考えております。
近年、まあ他方、近年ですね、その数が相当な量となってきていることもまあ事実であり、政府においていかにしてこれに、いかにしてこれに適切に対応するのかという課題があるというふうにまあもちろん認識をしているわけでありますが、制度そのものの在り方についてですね、我々政府からそれは例えば制限すべきだと言うことは適切ではないと、このように考えております。まあ、あくまでも議院において判断がなされるべきものであるというふうに承知をいたしております。
○鈴木寛君
あくまで、質問主意書が増えているのは審議時間を自民党が削っているからだという基本認識をきちっと了解しておいていただきたいと思います。
それでは、民主党の補正予算対案について皆様方に御紹介を申し上げたいと思います。 その前に、防災担当大臣、昨年の中央防災会議で首都直下地震の被害想定を行っていますが、その概要についてお答えをください。
○国務大臣(沓掛哲男君)
首都直下型地震につきましては、マグニチュード七クラスの地震に対しまして中央防災会議で被害想定を行いました。
この中で、発生の切迫性が高く、被害が広域に及ぶと想定される東京湾北部を震源とする地震について被害想定を見ますと、最大で、建物全壊・焼失棟数約八十五万棟、死者数約一万一千人、経済被害約百十二兆円、うち直接被害約六十七兆円、避難所生活者数約四百六十万人、帰宅困難者数約六百五十万人という甚大な結果となっております。
以上です。
○鈴木寛君
これ大変な、大変な数字、そして大変な状況だと思うんですね。これは総理も御理解をいただいていると思いますが、これ耐震の問題というのは、これ政府を挙げて、国を挙げて最大の課題だと思います。
このパネルをごらんください。(資料提示)
公立学校の耐震化の状況でございます。昭和五十六年に建築基準法が変わって新耐震基準になってから既に二十五年たっています。一千百万人の小中学生が毎日学び、そして万が一の場合に市民の唯一のよりどころになる学校施設。正に防災施設の六割が学校です。その学校の四八・二%が実に、これ六万三千棟に当たるわけでありますが、耐震性が確認をされていないという驚くべき事態になっている、状況になっている。
私は、新潟中越地震の直後、二〇〇四年の十一月二日の文教科学委員会の場で、文教施設の耐震化を積極的に進めるべきだと、さらにこの状況を国民の皆様方にきちっと御説明をしてこの問題の重要さということを理解していただくべきだということで、文教科学委員の皆さんと一緒に視察もさせていただきました。
文部科学大臣にお伺いをしたいと思います。
新旧文部科学大臣はこの重要性を国民の皆様方にお知らせをして、そして世論の後押しを得るためにどういう努力をされてきたのか。そして、今回の補正予算案においてこの公立学校の校舎の耐震化のために予算を幾ら計上して、そしてこのこ
とによって耐震化が何%進むのか。お答えください。
○国務大臣(小坂憲次君)
鈴木委員にお答え申し上げます。
ただいま御質問のありました新旧大臣はマスコミを通じてどのようなということでございますが、具体的に申し上げますと、大臣として直接マスコミでそういう発言をするということではなくて、文部科学省として広報を通じてこの耐震化の促進について訴えておるところでございまして、具体的に申し上げれば、まあテレビ局の名前を言うのがどうか分かりませんが、昨年九月あるいは十一月のそれぞれのテレビあるいはラジオ等の番組、あるいは政府広報というもの、文部科学省の文部科学時報等あるいは教育委員会報、こういったものを通じてこの耐震化の促進について訴えておるところでございますし、また、委員が御指摘ございました中越地震の以降ということで申し上げますと、中越地震以降十六年の、平成十六年十一月一日に公立学校設置者であります都道府県教育委員会施設の主管課長あてに、平成十五年度を初年度とする三年以内に耐震化診断を完了するよう耐震化診断実施三年計画、三か年計画の策定をお願いしたところでございます。
しかしながら、平成十六年四月一日現在での耐震状況の調査においては、半数以上の建物が耐震化診断が実施されていないという状況でございましたので、さらに、私どもといたしましては、平成十七年度に向けて公立学校施設の耐震化診断に
おける予算の確保に努めていただきたいというその旨をそれぞれの学校設置者にお願いを申し上げたところでございまして、そういった意味で、委員が御視察を賜りましたように、中越地震における学校の耐震化の問題というのは私どもも大変重
要な問題であると。学生が、児童がその生活の大半を過ごす場所でもありますし、また避難場所にも指定されると、そういうことで、その重要性については認識を共有しているところでございます。
(発言する者あり)
予算につきましては、平成十七年度の補正予算におきまして二百七十七億、これを計上しているところでございまして、また、平成十八年度本予算におきまして一千百三十七億という形でこの計上をしているところでございまして、それぞれ耐震化の促進に努めているところでございます。
(発言する者あり)
具体的に申し上げますと、現在の、十七年四月現在で五一・八%であったものが、当初予算で二・四%改善がされて五四・二%、また、十七年度補正の今、ただいま申し上げた二百七十七億円で一%上昇し五五・二%まで向上することができると、このように考えております。平成十八年度当初予算で更に二・八%上がり五八・〇%というところまで上がります。これはすなわち、それぞれの施設の耐震化設計とかそういったものがございますので、そういった意味で、危険度の高いもの、そして耐震化設計が完了して施工に入れるもの、こういったものに対して予算付けを行っていく、このようになっておるわけでございます。
○鈴木寛君
一年間で三%なんですね。これだとあと十五年掛かっちゃうんですよ。
私は、現在、民主党の次の内閣で文部科学政策の担当をさせていただいております。今回の政府の補正予算では全く子供の安全が確保できない、したがって衆議院で我々はこの予算案に反対をいたしました。
私たちがこの日本建築構造技術者協会の調査を参考にさせていただいて試算をさせていただいたところ、特に危険性が高いと、緊急性が要するの
が一万三千棟ぐらいあるんです。したがって、そうした校舎に対しては、緊急に診断をして改築、補強をするために、我々民主党は六千三百一億円の補正予算対案をまとめました。
総理にお伺いをいたします。一月二十六日の衆議院の予算委員会で、我が党の松本剛明政調会長の質問に対して、考え方としては共有する部分も多々あるという御答弁をいただきました。であれば、私たちが求めている校舎の耐震化のスピードアップ、そのためにこの参議院の場で補正予算組替え、是非お願いをしたいと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
民主党の考え方について共有する点もありますが、予算につきましては、各省庁いつも多額の予算を要求してまいります。しかし、民主党もできるだけ歳出については削減せよという点について私どもも共感を覚えるところもあります。財源の問題もあります。
そういう点から、現在の補正予算の組替えは考えておりません。
○鈴木寛君
私たちは、実は二〇〇四年の十一月の奈良の事件以来、子供の安全対策について検討を重ねてまいりました。昨年の十二月十四日に学校安全対策基本法案をまとめました。十二月の党大会で児童の安全にかかわる緊急アピールを申し上げて発表し、そして政府も十二月の二十日に「犯罪から子どもを守るための対策」を発表されております。しかし、今回の補正予算案の中で子供の安全対策、一円も計上されていません、通学の安全です。
同僚の林久美子議員の算定によりますと、全国で危険箇所に防犯灯を設置したとしてもわずかに十七億円、中山間地域にスクールバスを手配、あるいは路線バスの活用も含めて、これ十億円手配するとかなりの程度通学時の児童の安全が向上する
政府のこの対策をまとめられたのは安倍官房長官だと伺っておりますが、この程度の予算も計上できないのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋三君)
子供の命と安全を守るということは国、政府の重大な使命であり責任であると、このように考えております。この観点から、この子供の安全対策は政府全体で取り組むべき課題であると、こう認識をしております。
そこで、ただいま鈴木議員が御指摘になられましたように、昨年の十二月に、まず喫緊の課題としては登下校時の児童の安全確保であるという観点から、緊急対策として六項目を掲げました「犯罪から子どもを守るための対策」を取りまとめ、犯罪対策閣僚会議においてその着実な推進を確認をしたところでございます。
緊急対策六項目の中心は、全通学路の安全点検など、既に各地域で取り組まれている対策を緊急かつ網羅的に、しかも関係者が一致協力して実施するように求めるものであります。これらは補正予算による新たな予算措置がなければ対応できないという性質のものではなく、既に各地域で現に実行に移されているわけであります。また、対策に盛り込まれた施策のうち予算を必要とする施策については、平成十七年度予算での対応に加えまして、平成十八年度予算案においても適切に計上をしているところであります。
しかし、その十八年度予算に計上しているものを、ではなぜ補正予算に計上しないかという御指摘もあったわけでありますが、しかし、これを実際に実行に移すためにはしばらくの時間的な経過が必要でありまして、そうした準備はもう既に始
めているということでもございます。
今後とも、子供の安全確保のためにこれらの対策を適切かつスピーディーに実施をしていくために全力を挙げていきたいと、このように考えております。
○鈴木寛君
子供の安全の解決策は、私は地域の住民、保護者の皆さんのコミュニティー活動、これがかぎだと思っています。しかし、その地域の熱意を支えるのが政治家の役割だと思っております。
実は、私は慶応大学の助教授のときに、これは竹中先生と同じキャンパスにおりましたけれども、金子教授と一緒にこのコミュニティ・スクール構想という提案をさせていただいて、そして出版もさせていただきました。この経緯は竹中大臣もよく御存じだと思います。その後、二〇〇一年に私が国会に入り、そして民主党のマニフェストになって、しかし、ここは河村建夫元大臣あるいは下村元政務官の御協力も御理解もあって、コミュニティ・スクール法案が一昨年成立をし、そしてこの四月には百五十校が指定されます。いろんなところでコミュニティーができてきます。土曜学校運動というのも始まっていますから、それについては一万か所ぐらいになっています。
そして、しかし、こういう方々に是非活躍をしていただきたいし、既に大変活躍をしていただいています。そのためにも、私は予算が、そして人の手当てが必要だということを申し上げています。
特に、防犯対策の専門知識、能力を有する学校安全専門員、これが我々の対策基本法の骨子ですが、この配置は不可欠でありますし、ボランティアの方々の必要経費、例えば腕章代とかあるいは保険、こうした予算措置は必要なんです。我が党はこれを補正予算で提案しています。
総理も駄目でした。安倍官房長官も駄目でした。
谷垣財務大臣に伺います。せめて子供の安全対策でも、今回の補正予算で組替えをしていただけませんでしょうか。これは本当にお願いです。よろしくお願いします。
○国務大臣(谷垣禎一君)
委員のおっしゃるように、子供の安全対策というのは、将来の国づくりということを考えても極めて重要だと思っております。
今委員のお尋ねは、補正を組み替えるべきではないかということでございますが、既に官房長官から御答弁がありましたように、十二月二十日に作りました私どもの対応も、予算措置を待たなくて十分できるものである、補正措置をとらなくてもできるものである、十七年度の当初予算と、それから十八年度のこれから御審議をいただく予算、これをつなげればできるはずであるという認定に立っております。
先ほど来の御議論の中で、例えばバスの借り上げというような問題がございました。これは自治体の判断にゆだねられているわけではありますけれども、地財措置の中にこういうものが含まれているということでございますし、また、おっしゃいますように、コミュニティーをつくってボランティア等に呼び掛けていくということの重要性も私どもよく認識しておりますが、これにつきましては、学校安全ボランティア等々の呼び掛けというようなこともございまして、十七年度、十八年度予算、それぞれ所要の額は計上しているというふうに考えております。
○鈴木寛君
私どもには、腕章代もないんですと、これ何とかしてくださいという声が届いておりますので、是非御再考いただきたいと思います。
次に、格差問題であります。
総理は、明確な格差の拡大を確認されていないと本会議で答弁されています。この問題は、昨年の予算委員会でも私から総理にお願いを申し上げました。
このパネルをごらんください。(資料提示)
経済援助が必要な御家庭がこの十年で二倍に増えているんですね。東京、大阪ではもう全家庭の四分の一です。こうした中で、要保護者への国庫補助も昨年の三月なくなりましたし、学校保健法による疾病の治療費も国庫補助がなくなって、結果、そうした家庭の児童の虫歯が増えているんです。
総理、これでも格差は拡大していないとお思いですか。お答えください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
格差の問題についていろいろ議論がされている状況におきまして、識者からもどういう状況だと私も聞いております。先般も、政府・与党の会議におきましても、この格差の問題が話題になりまして、識者から現実のデータに基づいて説明を受けました。
そういう状況において、所得格差あるいは資産格差等、巷間言われているほど、今の日本の社会において格差はそれほど各国に比べてもないという報告を受けておりますが、今後とも、生活保護世帯等増えているのも事実であります。そういう点について、予算も増えております。さらに、フリーターとかニート等の問題、こういう問題について、将来の状況を考えるとおろそかにはできないなということから、この問題についても今後よく注視していく必要があると思っております。
○鈴木寛君
総理がそういう認識ですから、昨年の秋に義務教育費の国庫補助金を二分の一から三分の一に引き下げているわけです。我々は今国会に国及び地方合わせた義務教育費総額を確保するために義務教育財源確保法を提案したいと思いますので、またそのときに御議論させてください。
このパネルをごらんください。(資料提示)
教育費の対GDP比各国比較です。日本は初中等教育段階で二・七%です。アメリカでは、あるいはフィンランドでは三・八%です。日本はOECD 平均最低です。
もう一枚ごらんください。(資料提示)
公共事業の対GDP比率です。我が国の公共事業費は教育費より二%高い。世界最高、四・五七%。ドイツより三%高い。だから我々民主党は、コンクリートから人だと、これは谷垣大臣も昨年の委員会で御理解をいただいている。
政治家とは、ある意味で、こうしたマクロの正にこの社会制度、統治構造をどういうふうに設計していくか、これ一番重要な課題なんです。この国は、自民党長期政権の中で国家の屋台骨である人づくりをおろそかにしてきた。その結果がこれです。自民党の有力な総裁候補三人にお伺いをいたします。安倍官房長官、そして谷垣大臣、そして麻生大臣。他の方は申し訳ございません。一政治家としてこの教育問題をどう考えるか。そして、是非、総裁選のマニフェストでこのことを数値も年限も盛り込んで議論していただきたいと思います。
お願いします。
○委員長(小野清子君)
それでは、安倍内閣官房長官からお願いします。
○国務大臣(安倍晋三君) ただいま鈴木委員が御指摘されましたように、確かにOECDの調査によりますと二〇〇二年における我が国の学校教育に対する公財政支出の対GDP比が諸外国と比較して極めて低いのは事実でございます。
小泉内閣といたしましては、小泉総理が総理に就任した際、施政方針演説において、米百俵の精神でこの教育を進めていきたいということをおっしゃったわけであります。我が国において、将来、子供たちをしっかりと教育をしていくことが将来の日本につながっていく、そのように認識をしております。
一方、細かく今、鈴木委員が御指摘をされました数字を見てまいりますと、一人当たりのそれでは公費負担はどうなっているかということになりますと、初等中等教育段階におきましては欧米諸国と比べて遜色のないものとなっておりますが、他方、高等教育におきましては確かに私費の負担は高くなっていると、このように思うわけでありまして、国家資源をどのように配分をしていくか、やはりもう少し子供たちに厚くすべきではないかというのが国民の声であるということは十分に私も承知をしているわけであります。その中でしっかりと我々も、できる限り、高等教育におきましても公的なこの負担、公的な給付、公的に国が負うべき責任はどうか、また地方と合わして公的に負うべき費用はどうなのかということについてしっかりと考えていかなければいけないと、こう考えているところでございます。
また、総裁選につきましての御指摘でございますが、これはまだまだ全く決まったわけではございませんので、今の御質問については一政治家としてお答えをさしていただきました。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、今年度の文教予算あるいは補正予算に関しても責任があるわけでございますので、小泉内閣の財務大臣としてお答えをさしていただきたいと存じます。
これからのやはり日本の国づくりということを考えます場合に、やはり国際競争の環境も非常に厳しくなっておりますから、魅力ある日本をつくっていくということが私は大事だと思います。それで、その基本は最後はやはり、日本は資源もない国でありますから、人づくりだということに結局はなってくるというふうに思うんですね。
そういう中で今の日本の教育予算の在り方を考えてみますと、今委員が御指摘になりましたように、確かにGDP比で見ますと、OECD諸国の中で必ずしも高いところにあるわけではないということは御指摘のとおりでございます。
ただ、今、安倍長官もおっしゃいましたけれども、一人当たり、まあ子供の数も減っておりますので、一人当たりで見ると必ずしも遜色があるわけではない。むしろ問題は、これだけ子供の数が、児童数は減ってきている。しかし、統計を見てみ
ますと、生徒数一人当たりの公教育費支出、これ小中の推移で見ますと、平成元年から十五年間に五一%増加しているわけですね。で、この原因はどこにあるかと考えますと、少子化が進む一方で教師の数、給与水準、ここが横ばいに推移しているということが要因の一つではないかというふうに私は思っております。
しかし、そういう中で、子供の数が少なくなってきても教育は充実しろというお声があるのは事実ですけれども。ですから、一人当たりの教員数とか教員の待遇ということをあれしてみれば上がってきているわけですが、教育の、じゃ危機がそれで回避されているというふうには私は思わないわけでございます。
そうしますと、むしろ今後の問題点は、そういう教育の質をどうやって高めていくのか。数だけの問題では、金額だけの問題ではなくて、教育の質を高めるシステムをどうつくっていくかということにあるのではないかと私は考えております。
今後も、予算編成に当たりましては、そういう観点から私どもも議論をしていきたいと思っているわけでございます。
それから、先ほど公共事業の数字を挙げて、日本は公共事業のGDP比が高いという御指摘がございまして、私も確かに、コンクリートから人へという、去年も議論をさせていただきましてですね、鈴木委員のそういうお考えは私は共感するところがある、去年も申し上げたとおりでございます。
で、公共事業費もずっとこの抑制をしてきた、御承知のとおりでございますが、ただ、最後の悩みになりますのはですね、いろいろな災害対策もございますけれども、日本はやはり地形も急峻である、そういう中で公共事業のコストも諸外国に比べて掛かるということもございまして、その辺をどう考えていくかと、今後やはりきちっといろんなところで煮詰めた議論をしていきたいと考えております。
○国務大臣(麻生太郎君)
義務教育のお話ですが、御存じのように、イギリスに先立つこと三年も早く義務教育制度を世界に普及させ、国費留学生という制度を世界で最初に考え出して、義務教育というものはいろんな形で、義務教育に限らず教育費に金を掛けてきたというのが日本の歴史。
それは資源がないから、ほかに人材以外資源がなかったといえばそういうことになるんだと思いますが、そういった状況が、資源のある国に比べて状況が厳しかったために教育に非常な時間を掛けてきた。
明治時代は多分国家予算の三割近くは教育費に突っ込んでおりますから、そういった時代で、国防費に三割、教育費に三割、残りのすべてを残り四割でやったというのがあの時代の大まかな背景だったと記憶をいたしますけれども、そういった状況と今とは少し状況は変わってきて、あのころは近代工業化社会ですから、とにかく皆同じようにということだったんですが、今は時代が変わってきておりますので、教育の仕方も随分変わってきておりますので、子供の育て方も母親のしつけの話から始まっていろいろ方面、教育という言葉の意味が幅広くなってきておりますから、そういった意味では、今、谷垣大臣のお話にもありましたように、教育の在り方につきましては、これはもう一回再考してみなければならぬというところだと思っておりますが、いずれにいたしましても、金を掛けるにしても、金の掛け方の話もしていただかぬと、一律幾らという話とは少し違うんだという点も配慮して考えていかねばならぬ問題だと思っております。
○委員長(小野清子君)
いいですか。
小坂文部科学大臣。
○国務大臣(小坂憲次君)
鈴木委員の御指名の大臣ではございませんけれども、教育担当といたしまして、ただいま委員が御指摘がございましたGDPと教育予算の比率についてのOECDとの比較という点についての考え方。
私も教育予算の充実については鈴木委員と同様でございまして、これは多ければ多いほどいい、充実させたいと、この希望は変わらないわけでございますけれども、このOECDの統計とのですね、読み方の部分で気を付けなければならないことは、一つは、我が国のですね、GDPに対する公財政支出の割合が小さいということ、それからもう一つは、児童生徒数が総人口に占める割合が小さいと、就学人口のこの相違という問題。それから大きな点はですね、私立大学等の比率が高いということですね。例えば、フランスは大学の在籍者の比率が一・四%、いわゆるその私立大学のですね、私立の構成比が一・四%、あるいはイギリスは〇・一%未満でございますけれども、我が国は大学の七七・四、短大で九二%と非常に高いわけですね。これらが教育費に影響を与えていると。
そういう意味で、この指標として否定はいたしませんけれども、そういった読み方の上で構成の違いがあるということだけ指摘させていただきたいと思います。
○鈴木寛君
小坂大臣、失礼しました。是非総裁選、頑張ってください。
子供の数が減っている、そうおっしゃられると思っていました。
次のパネルをごらんください。(資料提示)
日本は高齢化で患者の数が大いに増えています。アメリカにもドイツにもフランスにも比べて患者の数は圧倒的にこれから増えていますし、今現在も大変多くなっています。
医療費の対GDP比です。日本は八%、アメリカは一五%。もちろん制度は違います。しかし、ドイツは一一%、フランスは一〇%です。この統計発表後、イギリスも増加に転じました。
もう一度お三方、プラスアルファでどなたでも結構ですが、伺います。小泉・竹中路線、正に経済財政諮問会議は対GDP比率を据え置く、増やさない、この路線を踏襲するのか変更するのか、お答えください。
○委員長(小野清子君)
厚生大臣でよろしいですか。さっきの……
○鈴木寛君
いえ、安倍、谷垣、麻生三大臣。プラス、総裁選に出る竹中大臣もどうぞ。
○委員長(小野清子君)
はい、分かりました。
安倍内閣官房長官。
○国務大臣(安倍晋三君)
ただいま委員が御指摘になられました医療費とGDP比との関係でございます。
国民にとって、いわゆるセーフティーネットがしっかりと張られているということが心の安心にとりましてもとても大切なものであるというふうに私も認識をしております。人間は不幸にして病気になる場合もあるわけでありますから、そのときにしっかりと公的な給付がある、そういう制度があって初めて安心して仕事もできると、このように考えております。
そこで、我が国の医療保険制度はどうかといえば、これは、もう世界に冠たるこれは皆保険制度であると、このように思っておりますし、国民の信頼も高いんではないか、こう思います。そこで、この制度をしっかりと維持をしていく、国民の安心を確保するためにも、給付と負担の関係について国民的なこれは納得がなければならないと、こう考えています。国民が納得できる範囲での負担があって初めて安定的な給付ができるということではないか。
そこで、医療給付費の伸びに関しまして、経済規模と照らして国民にとって安心のできる医療の確保の観点や、また国民負担の観点から評価をしながら、五年程度の中期を含めて将来の医療給付の規模の見通しを示し、これを医療給付の伸びの実績を検証する際の目安となる指標とするということにしたわけであります。
いわゆるキャップのような形にして、これを超えたら自動的に減らしていくというものではなくて、一つの目安を作って、果たして、例えばレセプトの電子化等々をしっかりと図っていって、そして事務費の軽減を図る、あるいは診療報酬の配分の仕方が本当にいいのか、また、いわゆる指摘をされているようなターミナルケアの在り方、後期高齢者の方々への医療費のこれは高、そしてまた、あるいはベッド数等々について、そうしたことに対する医療費の適正化施策がはっきりと有効的に効果があったかどうかということを検証する数値は必要だろうということからかんがみ、そうしたいわゆる目安となる指標を示したものであって、この政策そのものは私は決して間違ってはいない。しかし、一方、委員が御指摘になったように、日本のこの医療保険制度は必ずしもこれは各国と比べてGDP比高いものではないと、私はこのように認識をしております。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、全体としてなかなかいい医療制度を日本はつくってきたんじゃないかというふうに思っているんです。ただ、高齢化等も非常に速いスピードでございますし、現実問題として医療費はもう年々大きく増えてきていると。社会保障全般とすると、一般歳出の四十数%という額になっているわけですから、これ、やっぱり社会保障というものは本当に持続ができるんだとみんなが思わなければ、セーフティーネット、国民の安心、安全につながらないということがございます。
そういう意味で、今年、医療改革をみんなで議論しまして、今官房長官がおっしゃったことでございますけれども、キャップのような固いものにしていくとやはりいろいろ問題があるだろうということで、下から積み上げて、目安を作って、何年かに一回はやっぱりチェックをする体制をして、身の丈に合ったものにできるだけしていこうという努力は必要だろうと思います。それで、無駄を省いていく努力はもちろん必要でございますから、今後も多面的にそういうところを考えていかなきゃならないだろうと思います。
他方、小さな政府の議論がございますけれども、私は恐らく、これから、これもよく議論しなければならないところだと思いますが、国民の多くの意識として、国民皆保険のような体制、これはやっぱり必要だなと思っておられる方が大部分なんじゃないかなというふうに思っているわけですので、そこで先ほど申し上げたように身の丈に合ったものにしていく努力が必要だと。
そこでもう一つ。そうなると結局、そうであっても負担との関係でどうなるのかという議論がやっぱり他方であると思います。これが今年、経済財政諮問会議で議論をしていきます歳出歳入一体改革を選択肢も示してやっていくということにな
っておりますが、大きなテーマの一つになるのではないかと考えております。
○国務大臣(麻生太郎君)
基本的には、この話はこの三人で、特に谷垣大臣と一緒に財政諮問会議等々でやってきましたんで、一番最後に言うと、また全然別のことを言うのもなかなか難しい、難しい立場にありまして、基本的には同じことを言ったって、さっき聞いたよって話になっちゃいますんで。
基本的には、国民皆保険制度を維持しつつ、かつ、今、高額医療、終末医療、そういう特殊単語があるんですけども、そういった単語の状況のものが増えてきておるというのは確かなんです、これは、技術が進歩した結果。しかし、そのために医療費がぶわっと増えていくというのも事実ですから、そこらのところは、それは本当にやらなきゃいかぬのかという話は、患者の方が要らないと言って選択して尊厳死を与えろなんて話になると、また話がどおんとまた別の倫理観の話や何やになりますんで、これは鈴木先生、本当に難しいところなんだと思いますが、国民皆保険を維持しつつという前提でどれだけ負担し得るかというバランスの話というのは、これは時間を掛けてやらないかぬ大事なところだと思っています。
○鈴木寛君
引き続き、パネル六をごらんください。(資料提示)
一ベッド当たりの医師数です。
日本は臨床医が足らないんです。開業医はそうでもないんです。米国の五分の一、ヨーロッパの四分の一か三分の一です。看護職員もほぼ同じ傾向であります。
そしてもう一枚、七、パネル七。(資料提示)
特に専門医、臨床医、とりわけ臨床専門医の数が足りません。例えば、小児科でいうと二分の一、大体、人口比でいいますとね、麻酔科が二・四分の一、放射線科が三・六分の一と、こういうことになります。
この臨床医不足、臨床専門医不足が、医療過誤、救急救命体制の不備、三時間待ちの三分診療、患者さんに対して十分に説明をしてくれない医療、小児医療の不備、がん治療の後れ、このすべての原因がここにあるんです。医療政策も、優秀な医療人材の人づくり、これが重要だと。自民党が長期間、臨床現場と臨床医をないがしろにしてきた結果がここにある。
厚生大臣に伺います。今回は厚生大臣で結構です。正に、臨床現場の医師と看護師、医療スタッフのマンパワー不足が今回の医療改革でいつまでに何人改善をされるのか。そして放射線医、特にこのがん治療については放射線医と腫瘍内科医が足りません。これ大問題になっています。これがどう改善されるのか。正に、麻酔科、小児科、放射線科、腫瘍科、この医師不足が今回の医療改革でいつまでに何人改善されるのか、具体的に御説明ください。
○国務大臣(川崎二郎君)
まず、パネルをお示しいただきましたので、まず医師の数は足りているのか足りていないのか、この認識が大事だと思います。今、約二十七万、私どもは正直言って、今七千八百人ほどの新しいお医者さんが生まれている、リタイアするのは三千人から四千人ぐらいでしょうか、そうした数をずっと引いていきますと、基本的には今の医師養成数でいいんだろうと思っております。
じゃ、どう違うのかと申し上げれば、やはり病床数の問題でございます。人口千人当たりの病床数、日本は十四・三、アメリカは三・三、日本は四倍あるわけでございます。したがって、病床数で割れば医師の数は足りないよという数字にどうしてもなる。そこはもう委員が一番御存じのとおり、入院が我が国は三十六日、平均、そして欧米が大体五日から一週間、そこのところをしっかり直しながらやっていかなきゃなりませんねというのが今回の医療制度改革のまず基本になってまいるだろうと思います。
それから次の問題として、まず小児科でございますけれども、この小児科医については、この十年間で千三百三十一人、一〇%ほど増えてきております。これは人口、子供の人口が減っていく中で増えてきている。そういう意味では、急性医療、救急の小児医療の現場、要は開業される方多くて病院へお勤めの、そういう問題になってきておりますから、そこをこれから地域でやっぱり変えていかなきゃならぬだろうという考え方を持っております。そういう意味では、小児科の医師全体が足りないかといえばそうではない。偏在の問題、そして、言われるとおり、開業からできるだけ救急の方へ変えていくということが必要だろうと。
基本的にはそういう認識でありますけれども、問題はがんの問題になります。正直言って、アメリカと比べて、がんの特に放射線、それから抗がん剤の治療、この分野については人材が我が国は育っていないという認識をいたしております。
それで、今緊急の話としては、まず、がんセンターを中心にしながら、地域の今外科医、内科医来ていただいて勉強してもらう、そして即戦力になってもらう、そして地域へ帰ってまたそれを広げていくという手順で育てていきたいと思っておりますけれども、最終的には、委員の御指摘のとおり、教育機関も通じながら、研修体制を通じながら、がんの専門医、特に内科、放射線、こうした者を育てていかなきゃならないと、こういう認識でございます。
○鈴木寛君
いつまでに何人という答弁は全くありませんでした。そして、今の大臣で、OECD平均医師数、人口十万当たり、OECD二百八十人が平均です。日本は二百人。こういったこともきちっと踏まえてこの後きちんと議論していきたいと思いますが、もう一枚ごらんください。(資料提示)
がん治療に関しては、専門医不足の問題に加えて、未承認薬、抗がん剤の問題があります。この背景はいろいろ複雑です。しかし、その中の一つの重要な要因に医薬品審査機構の審査官が足らない、アメリカに比べて医薬品については十三分の一です。ここをどうするのか、厚生労働大臣に伺いたいと思います。
そして、そうやって調べてみますと、我々の安全にかかわる問題、その職員、体制というものがいかに貧弱か、このパネルで分かります。
今の医薬品審査は十三分の一、食品検疫は二十八分の一、証券取引は七分の一、航空安全は百九十四分の一、鉄道安全は二・四分の一、裁判官十三分の一、検察官二十三分の一です。
これ、まず厚生大臣、そしてそれぞれのこのつかさつかさの担当大臣に、このまさに我々の命を守る体制を具体的にどういうふうに改善していくのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君)
医薬品の医療機器審査体制でございますけれども、アメリカからもいろいろな議論がありまして、話を煮詰めております。
そういった中で、今百七十八人の定員を二十一年三月までに二百二十名にすると。審査体制全体として、アメリカと比較してスピードはどうだと、こういう問題については大体似たような状況に変わってきているだろうと。しかしながら、御指摘のように、できるだけこういうものを効率化を進めなきゃならないだろうと。しかし同時に、安心というものは、最初に議論をいただきましたが、安心というのは大事ですから、あんまりスピードばかりに頼り過ぎてはいかぬということは御理解を賜りたいと……
○鈴木寛君
少人数でやると拙速になるんですよ。
○国務大臣(川崎二郎君)
まあ、それでも、ある程度治験なりいろいろやっていくには時間が掛かるということだけは御理解を賜りたいと存じます。
○鈴木寛君
農林大臣。
○国務大臣(中川昭一君)
私の所管は食の安全、あるいはまた動物検疫、植物防疫ということでございますが、いろいろな国あるいは独立行政機関が日々一生懸命仕事をしております。
まず、数字、数字というか従事する人間を、厳しい予算ではございますけれども、そういう中で、来年度におきましても、例えば家畜防疫官七名を増員させていただきまして全国で三百二十六人と、いろいろと御配慮をいただきながら、食の安全あるいはまた動物、植物の安全に貢献していきたいと思っております。
質的には、研修あるいはまた外部からのいろいろな指導又は諸外国の視察、それからそういう目的に資するようないろんな機器の充実ということも図っていって、総合的に食の安全あるいは動物、植物の国内に対する水際、あるいは国内での安全について更にレベルアップしていきたいというふうに考えております。
○国務大臣(与謝野馨君)
現在の、先ほども答弁申し上げましたけれども、日本の証券監視委員会の権限、これはアメリカのSECと比べて私は遜色がないと思っております。
例えば、アメリカのSECは告発の権限はございません。日本の証券監視委員会は告発の権限があります。それから、監視委員長に伺いましても、やはり年々歳々その体制は充実してきておりますし、課徴金を課すという権限を持つなど、権限自体も増えてきております。ただし、人数の問題から申し上げますと、まだ三百人ちょっとでございまして、人数もさることながら、人材もこれから育てていかなければならないという必要性は感じております。
今、社会的な問題になっております案件につきましても、証券監視委員長は非常に長期にわたって監視を続けてきたと、十分役割を果たせたと私には言っております。
○鈴木寛君
国交大臣。
○国務大臣(北側一雄君)
私の方からは、航空並びに鉄道についての安全管理体制について御報告を申し上げます。
平成十八年度予算におきましてそれぞれ増員をお願いをしておりまして、航空におきましては、この安全に関する審査、監視、監督を行っておりますのは三十四名でございますが、十八年度は二十七名増強しまして、これで六十一名。さらに、鉄道に関しましては、現在百七十二名でございますが、プラス十名で百八十二名。さらに、この十八年度予算では、航空、鉄道だけではなくて交通モード、横断的に、大臣官房に運輸安全政策審議官というのを設置をさしていただきまして、この大臣官房に二十六名、安全監督組織をつくらしていただく予定でございます。これは、やはり事業者、事業者自らが安全マネジメントの体制をしっかりつくっていただく、そしてそれを評価をしていくというふうなシステムも今回新たにつくらせていただきました。
○国務大臣(杉浦正健君)
お答えいたします。
法務行政一般につきましては、治安の確保の緊急の必要性から、今回の予算においても大幅な増員を認めていただいております。
裁判所については、過去十年間で合計四百二名の増員を図っておりまして、来年度予算には裁判官七十五人の増員を計上しているなど、裁判所における人的体制の充実にも努めてきておられると承知しております。また、司法制度改革の進捗状況やその時々の事件数、社会の需要などを踏まえて適切な措置がとられるものと承知しております。
検察官につきましても増員を図ってまいっております。来年度予算では四十三名の増員を計上しております。現在の犯罪情勢、司法制度改革に適切に対応していくため、人的体制の充実、整備を行っておるところでございます。
しかしながら、現下の状況を見ますと、日本がかつて安全において世界一安心、安心な国という評価があったわけですが、落ちております。これを回復するためにはまだまだ十分ではない、今後とも増員して充実を図っていかにゃならない。エ
ールを送っていただいてありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
○国務大臣(松田岩夫君)
食品安全委員会を担当させていただいております。
正直、二年半余り、皆さんにつくっていただいて、今およそ、ちょっと正確な数字を申し上げられませんが、百人余り。いただいているリスク評価要請四百八十件ほど、済みましたお仕事半分ほど。BSEはその一つでございまして、そういう意味で、今年度、来年度も若干名増やしておりますが、更に頑張っていきたいなと。御支援をよろしく。
○鈴木寛君
いや、本当に若干名なんです。アメリカ並みになるのにこれは何十年も掛かります。
総理、私はこれをすべて公務員でやるというようなことは申し上げるつもりは全くありません。しかし、それぞれの分野で、高度の専門職をだれが育成をするのか、そしてだれが確保するのか、そしてその人たちが倫理観を持って、誇りを持って、責任感を持って仕事に打ち込める仕組みと環境をどういうふうに構築して、だれが責任を持つのか、これが大事だと。この青写真を持って行政改革をやるべきだと思いますが、総理の御意見を伺います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
どのような制度をつくっても運用するのは人間でありますから、人材の育成は極めて重要なことだと認識しております。
今までの公務員の削減の問題につきましても、削減しておりますけれども、増やすべきところは増やすということで、増やすところが出れば削減するところはもっと多くなるわけでありますが、今御指摘の安全面、重要な施策の点で足らざるところは増やしていくと、その分不要なところを減らしていくということが大事でありまして、人材の面におきましても、本人の経験、能力に加えて、やはり人格、人柄の点も大事だと思います。そういう面に配慮しながら、人材の育成、養成には十分今後も配慮していかなきゃならないと思っております。
○鈴木寛君
この国のトップには、日本国民の安全の確保、向上に明確なビジョンとマニフェストを示せる人材がなるべきだということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。