NO.41 平成18年度予算案の編成を終えて
2005.12.28


   平成18年度予算案の編成を終えて

本年は、夏の衆議院選挙、東京都議会選挙をはじめ大変お世話になりま
した。 改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

     「子どもの安全」自治体任せの政府を正す

 さて、この年末は、子どもの安全対策、及び、平成18年度予算編成、特に、子どもや教育関連予算について、慌ただしく毎日を送っておりました。

子どもの安全をめぐって、深刻な事件が立て続けに発生しました。改めて、亡くなられた何の罪もない子どもさん、そして、ご遺族に心よりお悔やみ申し上げます。本当に言葉もありません。

我々としては、子どもの安全対策に党をあげて、関係当局と協力しながら取り組みました。民主党としては、昨年の奈良の痛ましい事件発生以来、学校安全プロジェクトチームを設置して、一年以上、様々な角度から検討を積み重ねておりましたので、私から、プロジェクトチームの座長の藤村修先生、事務局長の林久美子先生にお願いを申し上げて、今まで積み重ねてきたものに、新たな事態に対応しうる新たな視点も追加して、一挙に法案にまで仕上げていただきました。12月14日に「学校安全対策基本法案」を取りまとめることができました。

加えて、12月16日に開催された衆議院青少年特別委員会において、スクールバスの配置、学童クラブの増加・充実を始め、地域の防犯ボランティアへの支援を始め、より具体的な子どもの安全対策について政府に具体的な要求を行いました。しかしながら、委員会の質疑において、猪口邦子少子化担当大臣も担当局長も官僚的な答弁と繰り返すばかりでした。たとえば、地域から要望の強いスクールバス導入を政府がイニシアティブをとるべきではとの質問に対して「自治体の検討が第一」との答弁を繰り返すばかりでした。この姿勢では問題だと思い、青少年特別委員会における政府の消極的姿勢を多くの関係者に警鐘を発するとともに、翌12月17日の党大会で「子どもの安全に関わる緊急アピール」を発表しました。

そのなかで、民主党は、補正予算を組んで、スクールバスや街灯の設置、犯罪被害防止のための安全教育(マップづくりなど含む)、地域ぐるみの学校安全体制の整備(ボランティアと警察と学校と行政が一体となった人的体制の整備含む)、不審者侵入対策などをおこなうべきことを盛り込み、党大会で前原代表から、発表していただきました。

私は、もともとITを専門にしておりましたが、子どもの安全対策については、防犯ビデオやICタグやGPSなど、モノに頼りすぎる解決策ではなく、人による対策の重要性を強調させていただきました。

こうした働きかけもあって、平成18年度予算案においては、概算要求はしていなかった「通学路の安全に万全の措置を講ずるための措置」などを含め、前年度10億円の予算が24億円に大幅に増査定がなされました。

しかし、これだけでは十分だと我々は思っていません。通常国会で是非ただしていきたいと思いますが、その前に、3月31日までの残された平成17年度の期間においても、子どもの安全は脅かされているわけで、我々は補正予算を組んで速やかに対応すべきだと主張しています。

 

○公立学校の耐震補強・アスベスト問題対処のためにも補正予算を

今、耐震構造設計偽造問題が大問題となっております。メイルでは、うまく書けませんが、人倫にもとる重大な問題が裏にはありそうです。政権の命とりにもなりかねないこの問題を自公は早く幕引きしたくてしようがないようですが、我が党も前原代表を先頭に、徹底した問題追及を行い、今までの自民党政府と業界とのもたれ合いの構造を暴き、小泉政権が推進する利益第一主義政策がこうしたことを助長していくことも追及をして参ります。

また、政府は、早期幕引きのため、あっさりと公的支援措置を講ずることを認め、その方針で補正予算が組まれようとしています。我が党も、何の落ち度も責任もない入居者の皆様の救済を最大限取り組んでいくという方向では、このこと自体に異論はないのですが、この対策と当時に、この際、「市民と子どもの安全のための本格的補正予算」編制をすべきだと考えています。

すなわち、私たち民主党は、この際、我々の身の回りの安全について、一から点検し、見直すことが必要だと考えております。たとえば、耐震構造がもっとも充実していなければならないのは、公立学校と病院です。社会の宝である子どもが学び、そして、震災時には、住民の避難所になるのが学校です。皆さんは、その学校の50%が耐震基準を満たしていないのをご存知でしょうか?昨年の新潟中越地震のときに私が文教委員会で質問をし、この数字が明らかになりました。

学校の多くは、今の耐震基準のできた昭和56年以前に建設され、その後、十分な耐震補強がなされていないため、半数の学校が耐震基準を下回っているのです。私は、再三、このことを国会でも問題にしてきましたし、メディアの方々にも主張してきました。しかし、十分に多くの国民の皆さんがこのことをご存知とは思えません。こうした情報こそ、国民の皆さんが共有すべきだと思いますが、なかなか報道されません。

したがって、耐震基準を満たさないマンション住民向けと同時に、学校の耐震補強とアスベスト除去対策も、補正予算で速やかに行うべきだと考えておりますし、平成18年度予算できちんと取り組むべきだと考えますが、政府原案では、全く、不十分です。



○奨学金は一歩一歩、そして、小児医療は半歩前進

私の第一の公約であります「希望者全員奨学金制度」に向けて、本年も頑張り、6万人奨学金対象者が増えました。私が議員になる前の奨学金対象者は69万人でしたが、今年度予算案では、109万人にまで増加いたしました。しかし、対象人数、金額、無利子の割合など、改善すべきことはまだまだあります。今後とも、頑張ります。

私は、教育とともに医療問題についても、精力的に取り組んでおります。医療改革プロジェクトチームの副座長として民主党の医療改革案第一弾を発表しましたので、是非、ホームページをご覧下さい。

特に、私は、小児医療はライフワークとして頑張っております。今年の7月11日の行政監視委員会で、尾辻前厚生労働大臣と小児医療問題(小児科・産科医不足、小児救急病院の不足、集中治療室の不足など)についてみっちり一時間質疑を行いましたが、今回の予算案では、小児科・産科医療体制整備事業が新規に認められ、母子保健医療対策等の総合支援事業として36億円の予算案が計上されました。

しかし、小児医療の充実は、予算措置だけでは全く不十分です。質問でも強く求めましたが、小児科とりわけ小児救急医療を行うとその医療機関がやればやるほど損をするという問題、小児用の集中治療室の整備の地域格差といった本質的な問題を解決するための診療報酬点数の見直しは早急に行っていくよう、引き続き強く要求していきたいと思っております。

 

これらの項目以外にも、文教科学関係予算案をめぐって、様々なことがありました。総じて申し上げれば、人づくりには、無関心で、無頓着な、小泉政権の姿勢が明らかになった予算案編成でした。

是非、来年もよろしくご指導・ご鞭撻のほど、お願い申し上げます。