NO.35 コミュニティ・スクール構想 実現に向け半歩前進!
2004.06.11 


年金法案騒ぎで、皆さんに、お伝えするタイミングを逸してしまいましたが、
6月2日(水)、私たちが96年ころから構想し、99年ころから本格的に
取組んでまいりましたコミュニティ・スクール構想の実現に向けて、
半歩前進となる地方教育行政法の改正案が成立いたしました。

私と金子郁容先生が構想していたコミュニティ・スクール構想
http://www.vcom.or.jp/cs/frame-main-bill.html)に比べると、
草の根からの自発的創発を支援するというしくみが脆弱な点や、
最終権限については依然として県及び市町村の教育委員会側が
墨守している点をはじめとして、多くの点で不十分な法改正であることは
否めません。が、今回の法改正によって各市町村の首長、教育委員会、
地域住民の皆さんが賢慮をもってこの制度を使いこなしたならば、
各地にそれなりに充実したコミュニティ・スクールを設置することが
可能となります。

我々が従来から提案・主張してきたコミュニティ・スクール新法の
制定までにはいたらず、地方教育行政法の枠組みのなかに無理に
押し込んだために条文だけ読むとあまり魅力的ではなく、重要事項は
各教育委員会が定める学校管理規則に委任された中途半端な法律に
なっている点もありますが、私としては、従来の頑迷固陋な文部
科学省のことを思えば、地域に開かれ、かつ、家庭・地域・社会から
より強くサポートされた地域立の学校づくりに向けて、小さくない
半歩だと思っています。

教育改革国民会議の主査に就任されて以来、5年間、一貫して
運動の先頭に立ってこられた慶應義塾大学院教授の金子郁容先生と
全国各地でいい学校づくりに日夜邁進している市民の皆さん、そして、
そうした動きを蔭でフォローした霞ヶ関の革新官僚、県庁、市役所、
町村役場の改革派首長・職員の皆さんに、改めて敬意を表したいと
存じます。

繰り返しますが、要は、これからは運用次第です。幸か不幸か、
改正法では学校管理規則にほとんど丸投げされているため、今後は、
首長、各地の教育委員会、地域の皆さん・保護者の皆さんが、各地域で
どんな管理規則をつくるのか次第ということになります。私も法案の
締めくくりの質疑に立ち、申しあげましたが、コミュニティ・スクールが
うまくいくもいかないも、各地域が、この制度の受け皿・担い手として、
どの程度のソーシャル・キャピタル(地域の信頼のネットワークと
コミュニティとしての問題解決力)があるかにかかっています。
このソーシャル・キャピタルは、コミュニティ・スクールのような課題に
向かって地域ぐるみで一体となって協力しあうことによって、醸成されて
いくので、鶏と卵の関係にもあるわけですが、地域の子供たちを真中に
おいて、地域の大人たちが現場の校長・教員と一緒になって、如何に
重層的な学び支援のコミュニティを創れるか否かにかかっています。

すでに、各地でこうした新しい学校づくり運動が始まっています。金子先生や
教え子たちも、各地の動きを日夜支援されています。指定を受けずとも、
郡部などにおいては、昔から、地域住民と学校と教育委員会と保護者が
一体となって学校づくりを行なってきましたから、すでに実態としては
コミュニティ・スクールになっているわけですが、新興住宅地で地域
コミュニティが希薄な地域、または、旧住民と新住民の融和がうまくいって
いない地域などでは、コミュニティ・スクールをキッカケとして新たな
地域コミュニティが形成・再編されていくことも大いに想定されますので、
この法改正が意味をもつ地域も少なくないと思います。
いずれにしても、いろいろな形で全国各地にコミュニティ・スクールの
精神・理念が広がり、具体的な学校づくり運動が展開され、それらが
連動して、さらに盛り上がっていくことを強く希望していますし、私、鈴木寛も
そのために最大限の努力を傾注していきたいと思っています。

是非、皆さんのお近くで、法律上の指定を受けると受けないとにかかわらず、
地域が主体となって地域に開かれたコミュニティ・スクールづくりに
挑戦してみようという声が盛り上がりましたならば、鈴木寛にご一報ください。
新しい学校づくりの理念・制度・実際の創り方などについて、地域の皆さんに、
直接、お話しさせていただきたいと存じます、
どうぞお気軽におっしゃってください。

是非、みなさんとコミュニティ・スクール運動を全国各地に
展開していきたいと存じます。よろしくお願いします。