NO.34 改正年金法案の成立にあたって
2004.06.08 


問題だらけの年金改革法案が、6月5日の早朝、参議院本会議で
可決されました。今の私の心境は、「悔しい!」の一言につきます。
何が悔しいか? 議事堂のなかの様子を、有権者の皆さんに、
正確に伝えることができないことに、いいようのない不甲斐なさを
感じています。

今回の報道は「与党も与党なら、野党も野党だ。茶番劇だった」
「野党も、法案の問題点について、もっと中身で追求すべきだった」
というのが基本論調です。あのような報道を見た有権者の方々が
同じような印象を持たれるのも当然だと思います。野党は、全く
反省すべき点がなかったのか? と問われれば、民主党の対応が
完璧であったとなどと、うそぶくつもりは毛頭ありません。

しかし、一言だけ言わせてください。6月4日の参議院本会議で、
二番バッターに立った民主党の大塚耕平議員の演説を、是非とも、
一人でも多くの皆さんに直接聞いていただきたかったです。
もし仮に、あれが生中継で全国に放映されたならば、あるいは、
彼の演説の核心部分が、キチンと編集されてテレビなどで
紹介されたならば、世論も大きく変わったのではないかと思います。
少なくとも、報道等に携わる方々には、大塚演説の全容を
踏まえた上で論評していただきたかったと思います。

大塚耕平議員の2時間にわたる演説の内容は、あの異常事態に
あって、極めて中味の濃い、聴き応えのある素晴らしい内容の
演説でした。引き伸ばしの要素は全くなく、まさに、年金改革法案の
本質的な問題点を鋭く指摘・追及しました。

大塚議員は、さらに、数ヶ月にわたる独自の調査の結果、例えば、
年金制度改革を議論する前提となる年金数理計算モデルが
旧来のものに継ぎはぎしたもので、およそ100年間の年金体系の
議論に耐え得るような本格的なものではないこと。また、今の年金
制度が、社会保障なのか保険なのかがどちらなのか? 積立方式
なのか賦課方式なのか? 確定拠出なのか確定給付なのか?
などの制度設計の基本方針がすべてあいまいになっていること、
さらに、厚生労働省が様々な不祥事を抱え、年金改革に全神経を
集中していられるような状況にないことなども指摘しました。

今回の年金法案の本質的問題点をこれ以上的確に論じることは
できないといっても過言でないほど見事な演説内容でありました。
年金問題の核心部分を指摘している最中は、自民党の議員ですらも
彼の話に耳を傾けていました。

私は、国会の大混乱のなかで、議会の本旨をわきまえた、
機知と賢慮に富んだ大塚耕平議員演説ぶりに言論の府・国会の
再生に一筋の光明を見た気がいたしましたし、改めて、
こうした素晴らしい仲間と一緒に仕事をしていることを大変誇りに
思いました。そして、彼のそうした姿が多少なりともメディアで
報じられるだろうと期待していましたが、結果は、彼の演説時間が
2時間であったことは伝えられても、彼の演説内容を紹介したり、
そうした大塚議員の対応・姿勢を評価する報道は一つもありませんでした。
とても残念です。もうしばらくすると、大塚議員の本会議議事録が
参議院のホームページでアップされますので、よく、お読みください。
お願いします。

我々、心ある民主党の議員は、今国会においても、過去の因習を
乗り越えて、言論の中味、政策論争の中味で勝負しようと、常に
精進と研鑚を積んでがんばってきたつもりです。そうした動きが
民主党全員の統一的な動きにまでなっているかと問われれば、
まだ不十分であることは認めますが、しかし、あらゆる機会を
とらえて努力してきたつもりです。

しかし、そうした努力は、今までのところ一顧だにされません。
いかに言論の質を磨き・高めたところで、それは全くニュースには
なりません。混乱や騒動は報道されますが、我々がいかに説得的な
論陣を張ったとしても、紙面や画面では、今のところ、何事も
なかったかのように淡々見過ごされ、べた凪(なぎ)などと
揶揄されておしまいです。大変に残念です!

しかし、我々は、こんなことで弱音を吐いてはいられません。
「大事なことよりも新奇なこと」を伝えるのが、ニュースであるということは
よくわかっています。しかし、私は、新奇性ではなく重要性を重んじ、
言論の中味を磨き、それが、世論を動かし、世の中を変えるために、
飽くなき挑戦を続けていきたいと思います。現場には、我々の挑戦を
応援してくださる多くの若手記者の方々も多数いらっしゃいます。
大いに勇気づけられます。

過去の常識・因習をぬぐいさり、事の原点に立ち返り、議員や
メディアや官僚が、その本旨に立ち返って、新たな政治・報道・
政策立案のスタイルを再構築しなおすために、各分野の心ある
若手が連携しつつあります。

年金法案について言えば、5割を超える未納・未加入の解決策も
ないままに、年金の掛け金はどんどん増額され、一方で、給付金は
現役時の5割が確保されるのは、給付開始初年度だけの話で、
翌年からどんどん減っていってしまう。しかも、今までは5年毎に
国会で年金制度を見直してきたが、これから14年間は、国会で
年金改革について議論されることはもうないといった、むちゃくちゃな
法案であるということを、委員会審議を通じて、我が党議員は、
再三再四指摘させていただいていましたが、これからは、遊説など
あらゆる機会を捉えて、何度も何度も訴え続けていきたいと
考えております。引き続きの応援よろしくお願いいたします。