すずかんMAGAZINE NO.17 「大学改革と司法改革」 | |
2002.11.29
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臨時国会は、大忙しです。前半は、鳩山代表の代表質問やクエスチョン・タイムの 準備におわれ、そして、後半は、私が従来から取り組んできた大学改革に関連して 学校教育法の改正と、ロースクールの創設と司法試験の改革問題に取り組んで います。これらの案件に関しては、参議院本会議、文教科学委員会、文部科学・ 法務委員会両委員会の合同審査、法務委員会のすべてに質問者として登板 いたしました。この間にさらに、共生社会調査会では、障害者の自立と 社会参加の件での質問もいたしましたので、連日、質問の準備と本番とで、 多忙を極めております。 今回の司法制度改革により、今まで、合格率3%未満という超難関を極めていた 司法試験が全く変わります。今後は、日本版ロースクールである法科大学院で 原則3年(法学の素養がある者は2年)学んだ卒業生が6・7割は合格できる ような制度に変更をされます。一発試験ではなく、法科大学院でのプロセス教育に よって法曹を養成していこうというものです。これによって、法曹としての倫理、 法曹の実務家としての能力など、よりふさわしい人材を養成できるようになると 思います。 しかし、問題もいくつかあり、政府に強く要求をしていることがあります。 そのひとつは、奨学金です。ロースクールの学費は、日本でも、私立の場合、 ロースクールの授業は少数精鋭でやりますから、200万円から300万円に なると予想されています。学生も相当勉強しなければなりませんから、おそらく アルバイトする余裕など全くありませんので、生活費補填もできません。 大学院ですから、どんなに若くても22歳から25歳までということになります。 となりますと、ロースクールに通えるのは、相当に裕福な家の子弟ということに なってしまいます。そこで、私の当選以来のライフワークであります、奨学金 制度の充実について、ロースクールの学生向けにも、その充実を強く要求を いたしました。その一連の議論のなかで、文部科学大臣からは前向きの発言が ありましたが、塩川財務大臣から本会議の場で「法曹を目指すのは、エリートで、 社会的・経済的にも恵まれた人だから、特に応援の必要はない・・・・」との 趣旨の問題発言がありました。一時、議場は騒然となりました。この点に ついては、私は、まったく容認できないと考え、その後も徹底的に委員会 審議などで政府を追及しました。この点は、与野党を問わず、すべての 議員からも賛同され、委員会審議でも一斉に奨学金問題が主要テーマになり、 来年度の予算要求で検討することとなりました。また、いろいろと懸念点に ついては、附帯決議も与野党でまとめることができました。 一連のことで痛感したのは、社会の木鐸であるはずのマスコミは、何を しているんだろうということです。塩川発言について、マスコミもどこかで 問題としてとりあげるだろうと思っておりましたが、どこも触れておりません。 本会議での質疑ですから、少しは話題になるだろうと思っておりましたが、 いかに、マスコミが重要な問題を見落とすかよくわかりました。だから、我々 議員がしっかりしなければと自覚を新たにいたしましたし、これからも、 マスコミが取りあげようがあげまいが、本当に日本の再生のために必要な 分野の具体的改革について積極的に取り組んでいきたいと思います。 大学改革についても、第一弾が始まりました。学部・学科の新増設・再編成の 規制緩和が一部認められました。従来、認可制であったものを、学位の範囲を 変更しないものについては、届出制に変更になりました。これで、今後、 制度上は、大学の創意工夫で自由に学部・学科を再編できるようになります。 これは、私が通産省時代にIT政策を担当していたときに、米国では、IT関連の 学部・学科で、どんどんいい人材が生まれているのに、日本の大学では、 情報関係の学部・学科の卒業生がなかなか増えず、以前として、造船や 土木のほうが多くて、悔しい思いをしました。日本の競争力を強化するために、 この点は、何とかしなければと当時から痛感していたテーマでした。 それから、大学の質の向上のために、不可欠な第三者評価制度も学校 教育法の改正のなかに盛り込まれました。さらに、ロースクールに代表される ように、専門職大学院制度も発足しました。高度な専門職の育成を大学院で 行っていくというもので、ロースクール、ビジネススクールなどが予定されて います。これによって、象牙の塔で社会から縁遠い感のあった日本の大学を、 社会への人材供給の中核的拠点として位置づけなおすための制度改革が、 いくつか始まりました。これからは、各大学が生き残りをかけ、社会からの評価に 耐えうるような不断の創意工夫に満ちた努力が行われることになると思います。 もちろん、評価機関をこれからどう作っていくか、より学習者本位の大学経営・ 奨学金制度の充実など、いくつか課題は残っていますが、とにかく、大学同士が 切磋琢磨するための制度はかなりできました。今後は、大学側の真剣な取り組みを 大いに期待したいと思います。 「21世紀は知の時代」。その基盤となる大学制度が50年ぶりの大改革が 行なわれつつあることを、是非、知っておいていただきたいと思います。 今、国会内で、大学問題について総合的に議論できるのは、元東大総長で参議院 議員の有馬先生と、文部政務次官・文部大臣も歴任された西岡先生と、私の 三人しか事実上おりません。しかも、私がもっとも長い質問時間をいただいて おりますので、大変な責任を感じながら日夜仕事に取り組んでおります。 民主党の大学改革チームの事務局長として、これからもがんばっていきます。 来年には、国立大学の法人化も議論の俎上に上ってきますので、 また、ご報告したいと思います。 来週は、行政監視委員会で公務員制度改革についての意見表明、法務委員会で 独占禁止法の抜本改正案の質疑、そして、内閣委員会で構造改革特区法案の 質疑にたちます。本当にてんてこ舞いです。特に独禁法については、全部で 547条にも及び、大改正ですから本当に大変ですが、がんばります。 |
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