すずかんMAGAZINE NO.15 「試練のとき」 | |
2002.11.05
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ご無沙汰して申しわけありません。私、スズカン、そして、民主党にとって 試練のときです。10月25日、大変無念で残念な事件がありました。 改めて、政治家という仕事が命がけの仕事であることを痛感しました。 我が民主党の先輩で、東京都連の国会議員の取りまとめ役も務められ、 私自身も昨年の参議院選挙以来、大変にお世話になりました 東京世田谷選出の衆議院議員石井こうき先生が暴漢に襲われ 亡くなられました。犯人は、元暴力団員で、以前より、石井こうき先生に タカリや無心をしてきた男です。応ずる理由の全くない石井こうき先生は、 そうした脅しに対して、断固、毅然として、拒み続けてきたところ、逆恨みされ、 刺殺されてしまったと報じられております。しかし、犯人は完全にプロの手口で 犯行を行っており、その動機・背景は、全く闇の中です。石井こうき先生は、 正義の人で、常に巨悪に対して命をかけて切り込んでいかれた方です。 政治の不正追求をめざす国会Gメンの会長も務めておられました。 本当に日本の政治浄化のためにかけがえのない政治家を失いました。 心から、石井こうき先生のご冥福をお祈りするばかりです。 ---------------------------------------------------------------- 事件のショックから覚めやらぬ10月27日には、衆参統一補欠選挙が 行われました。結果は1勝6敗。まさに惨敗でした。原因は、低投票率です。 結局、公明党の組織票が勝負を分けました。低投票率の最大の理由は、 わが民主党にあることは申すまでもありません。代表選後の人事をめぐる ゴタゴタによるイメージダウンが最大の原因です。「自民党の腐敗体質は 許せない。今となっては、経済無策の小泉政権を支持するわけにもいかない。 さりとて、今のゴタゴタの民主党を支持するわけにもいかない。結局、選択肢が ない。」と良識ある有権者が判断されたのは、当然だと思います。 しかし、一つだけ皆さんに申し上げたいことがあります。民主党が改善すべき 課題は少なくないことは事実です。そのことは率直に反省し、真剣に 取り組んでいます。しかし、みなさんがご心配されるほど、民主党は ゴタゴタしていません。議員総会など公式の場では、何らかのまとまった 反対意見が表明されたり、動議が出されたりするようなことは全く起こって いません。惨敗した選挙の翌日も、代表や幹事長とのところに抗議や対案を 抱えて直訴にきた議員も特にいません。国会の議場で、政府と食い違った 経済政策を主張する与党のほうがよっぽどバラバラです。 私も、議員になる前15年間、組織人として仕事をしてきましたが、 これ以上の混乱は、いくらでもありました。組織にお勤めの方なら お分かりだと思いますが、組織のトップ選びの直後では、多かれ少なかれ いろんなことはあります。思いがかなわなかったグループは、その直後、 やけ酒をあおることもあるでしょう。しかし、表では、ルールに基づいて 決まったことに、内心どんな気持ちであってもそれに従い、自らの仕事を 黙々とこなしながら次に備えるのが大人の社会の道義です。 民主党の多くの議員もそうしています。 特に心ある若手は「敗軍の将、兵を語らず」で、今回の結果を率直に受け止め、 自らの実力を高めようと、まじめに経済危機を突破するための政策の研究を 開始したり、全国遊説を始めたり、自らの選挙区を丹念に周り中小企業の実態を つぶさに見て回ったり、黙々と精進しています。野田さんも、枝野さんも、 前原さんも、黙々とがんばっておられるようです。さすがに立派です。 ただ、本来、やけ酒はこっそり飲むものなのに、ほんのごく一部の議員の中に、 テレビカメラや記者の前で、クダをまいていく人がいるのです。そうした光景は、 面白いし、可笑しいですから、マスコミの格好の材料になってしまい、全国に その醜聞が報じられているのが今の実態です。しかし、それを見せられた お茶の間の皆さんは、一番の被害者です。見たくもないものを見せられて その醜態にあきれ、ご立腹されているのは、ゴモットモなことだと思います。 本当に申し訳なく思いますし、民主党議員は185人のなかの、ほんの 一部の人間が民主党のイメージを限りなくダウンさせていることに 憤りすら感じます。社会人たるもの人前では、自分を律しなければいけません。 まして国会議員です。他の議員も周りでそうした醜態があれば、 それを事前に止めなければなりませんから、そうした意味では反省は すべきだとは思います。 もちろん、真剣に改革すべきことも山積しています。それについては、 今、政権戦略委員会で着実に議論が積み重ねられています。特に、新人支援対策、 地域組織づくりなどの重要な課題については、執行部内でも真剣な議論が 積み重ねられていますし、今、雌伏している心ある若手もいずれ建設的な党の 刷新策をまとめて提案すると思います。まともな改革議論は来年1月にかけて 活発化すると思いますし、こちらの論争はご覧になって見応え、 聞き応えあるものにしていかねばと思います。 また、以前から指摘されている鳩山代表のプレゼンテーションの問題ですが、 みなさん10月21日の代表質問を聞いていただいたでしょうか? 気迫のこもった堂々たるものだったとテレビを生中継で全部みていただいた 方々からの評価は高かったです。ただ、その後の10月30日の党首討論になると、 以前、評価は厳しいようです。ここは鳩山代表の奮起に期待するしか ありませんが、私は、最近、このように感じています。 昔、大平正芳という名宰相がいました。日中国交正常化も、田中角栄総理も 功績もさることながら、外相が大平さんだったからこそ成功したと中国側に 言わせた、信に篤く、誠実で、沈着冷静な判断ができる政治家でした。 彼も、当時は「あーうー総理」と言われ、プレゼンテーションには難が ありましたが、政治家としては、立派な国家運営をされたと思います。 私は、鳩山代表は、大平さんのようなタイプではないかと最近は感じています。 あるいは、私は記憶にありませんが、鳩山一郎氏もそうだったのかもしれません。 ものごとには、波というものがあります。当分の間は、何をやっても評価が 芳しくない時期が続くと諦観しています。ちょうど、負けが込んでいるときの プロ野球の監督のようなものです。監督はボロクソに酷評されます。 今は、とにかく耐える時期だと覚悟しています。こうしたときは、自暴自棄に ならず、毎日のことを一つ一つ心をこめて丹念に取り組んでいくしかないと 思っています。我々は「技」において未熟かもしれませんが、「道」に おいては微塵も踏み外しておりません。だから酷評にも耐えられます。 今までも、政策本位・人物本位の政治を貫いてきました。クリーンな 政治を貫いてきました。特に、鳩山代表は、「心ある政治」「効率追求の経済 至上主義を超えて、真の人間価値の追求」という信念を真摯に貫いてきました。 マスコミを通じたプロパガンダという一点を除き、我々のほうがはるかに 真っ当である自負と自信はあります。今の苦難は、本格的な日本救済政権を 担う前に、我々が今だ弱いところ、未熟なところを、補強するために天が与えた 試練だと理解し、我々も歯を食いしばって精進に励んでいきたいと思います。 ---------------------------------------------------------------- 一方、教育改革をライフワークとして奔走するスズカン個人としては、 順調に成果があがりつつあります。特に、就任以来一年間、 民主党大学改革PTの事務局長として私が気合を入れて取り組んできた 大学改革の分野ですが、この分野は、現職、参議院議員のなかで、 大学教育・大学運営に熟知しているのは自民党の有馬先生と私スズカンの 二人しかいないということもあり、その責任の重さを痛感しながら 取り組んできましたが、この臨時国会で相当進展すると思います。 学校教育法の大学部分にメスを入れました。即ち、各私立大学が 創意工夫を凝らせるように、大幅な規制改革が実現します。 そして、その各大学の創意工夫が、文部省にではなく、第三者機関に よって適正に評価され、大学間の健全な競争が始まります。 これによって大学の質の向上と、サービスの向上が期待されます。 さらに、ロースクールに代表される専門職大学院の設置も可能になります。 本格的な人材育成の場として大学が生まれ変わる契機にもなります。 来年に向けて行われる国立大学改革と相まって、まさに、大学ビッグバンが すぐそこです。これからは、こうした全く新しい枠組みで、各大学の 現場での創意工夫と奮起が期待されます。世界先進国で、もっとも評価の 低い日本の大学が生まれ変わる契機になります。大学が変れば、 新たな知が生まれます。人材が生まれます。迂遠ですが、 これこそが日本再生の鍵だと信じてこの問題に取り組んでいます。 民主党に逆風が吹こうとも、マスコミが関心を持とうが持つまいが、 次世代が後にきちんと評価してくれる仕事を私スズカンとしては地道に 取り組んでいきたいと思っています。当初の公約である「わが国の教育改革」を、 一歩一歩進めていきます。そして、各民主党の議員がそれぞれのテーマをもって、 各分野の改革を日本の将来のために地道にやり続ける中でこそ、 民主党としても次なる活路が見出されると信じております。 現に、わが党の議員が、医療、労働、福祉、環境、金融などの各分野で こうした地道な努力を続けていることを誇りに思います。 こうした気持ちで日夜、頑張れるのも、私を応援してくださる 皆さんあってのことです。引き続きの応援よろしくお願いします。 |
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