すずかんMAGAZINE NO.12 「訪中報告とj北朝鮮問題」 | |
2002.09.20
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9月10日から14日まで、日本IT青年企業家訪華団の団長として 訪中してまいりました。これは、私が清華大学で情報社会についての 講義を行うことが以前から予定されており、これに併せて、 日本のITブームを仕掛け、ビットバレーの中心メンバーであり、 バブル後もしっかりと生き残り着実にビジネスを続けている IT青年企業家25名の皆さんとともに訪中し、情報分野での 日中合作の可能性を探ることを目的としたものです。 清華大学胡副学長との懇談、IT企業家同士の意見交換に加え、 ケ小平(トウショウヘイ)氏の改革開放路線を実現するために約20年前から 中国近代化の中心を担ってきた中国国際信託投資公司(CITIC)グループの 全面的なご協力を得て、中国政府の科学技術部の招局長、CITICグループの 総帥であり、中国建国の父「王震将軍」のご長男でもある王軍さん (大臣クラス)、さらには、大連市の戴副市長、黄北京大学教授などと お会いしてまいりました。要人との懇談に加え、北京経済技術開発特区、 中関村、清華サイエンスパーク、大連ソフトパークなど、中国のIT産業の 主要拠点も視察をしてまいりました。 私が、清華大学では「IT革命ではなく情報革命の時代になる。中国は、 産業革命と情報革命とが同時に進行している稀有な例である。 そのなかで、中日の合作の意義は極めて大きい。」ということを 申し上げましたが、訪中を通じて印象に残ったことを申し上げますと、 中国側がネットワークに流すコンテンツ(中味)を充実させることに 急速に関心が高まっているということです。さらに、プランというものは 日本ではなかなかその通りには実現されず、縮小や変更を余儀なくされる ケースが多いのですが、中国では、様々な計画がきちんと計画通りに、 時機を違うことなく実現されていることに感心しましたし、中国では、 人脈の良し悪しが決定的で、誰と組むかによって雲泥の差であることを 痛感しました。 今回の訪中は、私にとりましては、1992年の初訪中以来10回目 (香港・台湾含む)ですが、次世代の中日を担う上で大事な要人たちとの 極めて親密な信頼関係ができたことが何よりもの収穫だったと思っています。 特に、王軍さんと1時間以上差しでがっぷり四つに組んで話しをすることが できましたことは感激でした。こうした地道なことの積重ねが、相互の信頼と 尊敬を深め、それが将来の糧になるものと信じて着実に 頑張っていきたいと思います。 帰国して直後に9月17日の小泉訪朝がありました。私も結果を固唾を飲んで 見守っておりましたが、今回の余りにも無残な結末に大きなショック受けました。 ご家族の方々の心中を思いますに、本当に言葉もございません。 今回のことは、北朝鮮が国なので、話の本質が完全にごまかされていますが、 皆さんよく考えてください。今回のことは、非常に単純です。 多くの日本の方々が、同一の海外犯人グループに、何年間も連続して 誘拐されました。誘拐犯は、多くの人質の命をすでに奪っており、 多くの方の命は確保できませんでした。さらに身代金も取られそうに なっているということです。(身代金を払う約束まではしてしまった)。 北朝鮮が、二枚も三枚も上だったということだと思います。 完全に日本はハメラれました。小泉さんや今回の担当者だけを 責めているわけではありません。日本国として、これまで北朝鮮拉致問題対策に 割いてきた長年のエネルギーが足りなかったということです。 これが今の北朝鮮に向けた日本外交の実力です。海外は評価しているようですが 当然です。外国政府は、日本人の生命安否より、自国の安全保障のほうが 大事ですから。しかし、日本の政治家はそうはいきません。 日本人の生命・財産を守るのは、日本の政治家の最大の使命です。 ですから、国会に身を置くものの一人として、痛恨の極みでありますし、 本当に申し訳なく思います。 今回のことで驚いたのは、あのような悲惨な結末を全く予測できていなかった 小泉さん及びその周辺の国際的な情報網、人脈の貧困さです。 私も、通産省時代、政府にいた人間ですが、小泉さんが訪朝を決定したときに 当然こうしたことは大方の良い情報を得ていて決断したものとばかり 思っていました。仮に、中国やロシアに信頼できる友人が小泉さん及び周辺に 一人でもいたならば、今回の交渉の展開は、全く変っていただろうと思います。 海外との人脈づくりにおいては政治家でしか創れないものがあります。 外務官僚は、人事異動で、突然いなくなってしまいますから、 自ずと限界があります。私、鈴木寛は、こうした時のためにも、 一生懸命、中国やインドに信頼できる友人を創っていこうと思って 行動しています。そうした長年かけて培った人脈が、いずれの日にか、 国家・社会のお役にたつものを信じて、地道に海外とのパイプづくりを 進めていきたいと思います。よろしくご指導・ご支援をお願いいたします。 長文ですみませんでした。 ここまで、お読みいただきありがとうございます。 |
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