すずかんMAGAZINE NO.8 「やはり政権を獲らねば!
2002.07.28

26日の本会議において、健康保険法の改正案が、民主党をはじめ
全野党欠席のまま、与党の賛成多数で可決されました。
前日25日の厚生労働委員会で大仁田議員が田村委員長を抱えていた映像が
ワイドショーで放映されましたが、私も、あの強硬採決の現場におりました。

この法律が成立したことによって患者の自己負担が二割から三割にアップする
ことになります。小泉総理は、医者と患者と保険者の三方一両損とか
言っていますが、実は、患者と保険者は、同じ一般庶民なのですから、
国民負担増以外何ものでもありません。また、個人医は、最近は、高額の
検査機器を導入せざるを得なくなっており、しかも、機器の稼働率は低く、
高額な借金返済が経営を圧迫していますし、勤務医は、相変わらずの安月給と
超過勤務に苦労しています。

我が国の医療制度改革でやらねばならないことは、まず、何が医療支出の
増大の原因になっているかをきちんと分析し、無駄や不合理を取り除くための
改革をすることです。

そのためには、
1 治療上は意味の薄い、投薬や検査を減らすこと。そして、減らすことが、
 医師のインセンティブになるように制度変更する。
2 医療データ・検査データのポータブル化を進め、二重検査をなくす。
3 治療ではなくて予防も促進するために、東洋医学も含む予防医学への
 保険適用や 医療費控除を明確化・拡大化する。節制・健康維持・予防に
 心がけている人の保険料も下げてあげる。 
4 1から3を進めるために診療に関する情報公開を促進して、患者や健康
 保険組合がその医療機関の過去の実績について、いつでもチェックできて、
 過度の薬漬けや検査漬けがなく、治療回復・再発防止率が高いことなどを
 確認して、 選べるような医療情報システムの整備する。
などの施策によって、医療機関、医療従事者をはじめ、健康な一般国民、
患者などが、創意工夫や知恵を働かせられるような制度づくりが必要です。

現に、長野県茅野市は、全国平均よりも1割以上医療支出総額が少なくなって
います。茅野市のようにすべての市町村が1割カットすれば、今回の負担増は
必要ありません。そうした議論がないまま、ただ、サラリーマンの自己負担率を
二割から三割に上げようとしたことに、民主党は断固反対しました。このまま
いけば、また数年経って、3割から4割にアップになってしまいます。

特に、我々がおかしいと主張したのは、社会全体の医療費が、どういう治療・
療法・投薬にいくらかかっているかその実態を把握し、医療保険の赤字が増大する
メカニズム自体を改革するために知恵を出し合おうと提案しましたが、政府・
自民党は、保険点数は公開しましたが、それぞれ項目が、どれくらいの量
行われていて、それぞれいくらぐらいの支出になっているかは、結局、明らかに
しませんでした。結局、中身の議論に全く入れなかったのです。自民党と政府の
答弁は、内訳は言えませんが、とにかく赤字ですから、負担増お願いします、
ということなんです。とんでもない話です。我々は、その公開をもって、いろんな
対案を準備していました。結局、その実態を明らかにすると、困る人が出てくる
からです。さらにいうと、自民党への献金が多いところはほとんど痛まない
改革案になっています。

もうお分かりだと思いますが、製薬メーカーと医療機器メーカーは、
あまり痛みません。小泉総理のレトリックの三方一両損の外です。薬漬け、
検査漬けの元凶は、この政官業の癒着構造なのです。そうした癒着構造から
見ていくと、見事に相関しています。例えば、医者のなかでも、今回の診療報酬
改訂で整形外科関連が極端にカットされますが、これは整形外科が一番自民党への
ロビー・献金活動が少ないからだと言われております。こうした事実を一つ一つ
是正するために、医療保険支出の明細データベースを要求したのですが。
本当に、ふざけた話です。

マスコミもマスコミです。1から4までの、我々の主張について中身は全く
報道せず、(ちゃんと国会のホームページに議事録にはのっているのに。)、
挙句の果てに、強硬採決の翌日には、強硬採決で自民党の盾になっている
大仁田議員を取り上げて、初仕事!!なんて喜んでいるんですから。
マスコミとは、本当に社会的責任を果たしているでしょうか?

しかし、改正案は、我々の抵抗にも関わらず、成立してしまいました。
いくら我々が正論を吐いても、いくら実力で阻止しようとしても、結局は
議席の数です。あの光景に立会い、悔しさを噛みしめながら、
「やはり政権をとらねば」と痛感した次第です。
応援よろしくお願いします。