今回、私すずきかん(鈴木寛)は、参議院東京選挙区よりの立候補を予定しております。おそらく、これが衆議院や東京以外であったならば、今回のこの時期には立候補しなかっただろうと思います。
では早速、私がなぜ参議院を目指すかという理由をお話します。私、すずきかんにとって、国会議員になることは目的(最近の若手議員のなかにはそのことが自己目的化している人も増えているようで少し気がかりです)ではなく、新しいニッポンづくりのための手段です。
新しいニッポンづくりを行うためには、大きく二つの仕事があると思います。すなわち、新たなニッポンづくりのためのビジョンや実現のための具体的政策案をつくるという仕事(弾を込める仕事)と、その政策を実際に国の総意として決定し・実施する仕事(弾を撃つ仕事)です。当分の間、私がこの社会のためにもっとも力を発揮しうるのは、前者の弾を込める仕事だと思っています。(いずれは、弾を撃つ仕事もできるようにならなければと思っていますが・・)
実は、この弾込め仕事は、今までは官僚がやっていました。今までの戦後日本のビジョンは「欧米に追いつけ・追い越せ」でした。そして、その具体化のための法案づくり=弾込めを官僚が行ってきたわけです。私も、通産省時代13年間にはそのことをやってきました。しかし、今やらなければならないのは、新世紀におけるニッポンのビジョンを新たに作り出すことです。しかし、今や、これは官僚の仕事ではありません。90年代後半、日本社会はこの弾込めの仕事をする官僚を、その任から引き剥がし、その力を大幅に削ぎとることに終始してきました。民主主義の精神に立てば、健全なことだし、当然のことだと思います。
しかし、問題はその後です。官僚に代わってだれがこの任にあたるのか?ニッポンのすべての有識者がそれをやらねばなりません。その音頭とりが国会議員だと思います。現に、戦後まもない時期の参議院は、今のような業界団体代表者の巣ではなく、高名な学者・有識者が集う良識の府で、戦後日本の将来ビジョンについて質の高い議論が交わされていました。しかし、今の国会、その自覚と気概と見識をもった議員がどれだけいるか????大いに疑問です。
私は、この4年、中央大学講師としてNPO論を、そして、慶応大学助教授時代に情報社会論という講座を専攻しておりました。産業社会が終焉しこれから情報社会になっていく、その情報社会とはどのようなものか構想し、さまざまなNPOにも携わりボランティア的試みも行ってきました。そうした経験と人的ネットワークをいかし、これからじっくりと将来の日本のあるべき姿について国民的議論を盛り上げるための音頭とりをしていきたい。そうしなければならないと思います。ビジョンづくりとともに、今の日本は、待ったなしの改革を教育や医療や年金など、さまざまな分野で抜本的に行っていかなければなりません。
どれも少なくとも5年くらい継続的に相当腰を入れて取り組んでいかねばならない問題ばかりです。特に、私が力をいれていきたいと考えている教育改革も第一段階だけでも最低でも5年くらいの期間が必要となりますが、参議院議員の場合、すくなくとも6年間は責任をもって仕事に取り組むことが出来ます。それならば、改革もかなり責任をもって進められるかもしれない。そう思って、参議院を選びました。
例えば、私はすでにコミュニティ・スクール構想を昨年12月に岩波書店から発表させていただき、今国会でも、民主党のメンバーとともにコミュニティ・スクール法案を準備しました。この構想を一言でいうと、今の学校は文部省官立学校になっていますが、そうした官立学校を改め、地域の子供は地域コミュニティで育てていくとの理念に基づいています。子供たち
の視点にたって、日頃、子供たちの近くにいてそれぞれの子供たちの状況をより知っている保護者、教師、学校運営者(校長、教頭ら)、地域関係者たちが、主導権をとって学校運営にあたっていくべきだというのが構想のエッセンスです。
その手始めとして、モデル的に希望する地域コミュニティが運営する公立学校をいくつかの地域で認め、支援していこうというのが法案の骨子です。いづれ、すべての学校における運営のあり方を見直していきたいと思っています。こうした地道な息の長い仕事は、いつ、解散で選挙があるかもわからない衆議院議員では、落ち着いて取り組みにくいという問題があります。
それから、東京選挙区にこだわった理由もお話したいと思います。今の政治、あまりにも都会の皆さんの声が反映されていない。そのことによって、この国がとてもいびつになっていることに私は大変な危惧を抱いております。私、すずきかんは、全国の都会生活者の皆さん、都会で働くサラリーマン、市民、その家族、友人、仲間の皆さんの声を代弁していきたいと思っています。まさに、全国の都市の代表でもある東京で、しかも、東京全都の代表者を選出する参議院東京選挙区を選びました。(衆議院は、東京の場合25選挙区に分割されていますが、参議院は全都一選挙区、都知事と同一の選挙区ということになります)。
私すずきかんは、地方を切り捨てようといっているのではありません。例えば参議院選挙などでは一票の格差が5倍にもなっていることからわかるように、現在は、あまりにも都会の声が反映されていません。都会にだって、苦労されている方はいっぱいいらっしゃる、そうした方々の声を国会の議論の俎上にのせていきたいと思っています。
それから、アジアの大都市「東京」の代表者としてやりたいことがあります。それは、アジア太平洋自由都市連合構想ともいえるものです。私は、米国的にいえば首都東京の上院議員を目指すわけですが、今、アジアの国レベルでの関係はなかなか微妙で一挙に改善していくというわけにはいきません。しかし、私も日韓ワールドカップの仕事に携わっていますが、私は、アジアの人々と、もっと協力しあえる共生しあえる世の中をつくりたいと思っています。そうした思いをもっている方々は日本・アジア中にたくさんいらっしゃると思います。
国レベルでは難しい連携も、都市レベルでの交流・コラボレーション(協働)は可能だと思います。そうした都市ネットワークづくりを、アジア随一の大都市の一角をしめる東京の代表者として、各アジアの主要都市の皆さんにはたらきかけていく、そんな仕事は是非取り組んでいきたいと思っています。余談ですが、参議院は衆議院より格下にみられがちですが、実は、小選挙区制度導入以後、状況はかわりつつあります。扇国土交通大臣、片山総務大臣、元中曽根文部大臣、有馬文部大臣などは参議院議員であることからお分かりのように、閣僚起用については衆参の区別はなくなりつつあります。
また、私は実質的な政策づくりをやっていきたいと思って国会議員を目指すわけですが、民主党においては、政策形成プロセスにおける衆参の区別は全くなく、本人の資質次第です。ですから、国会内・党内における役割・影響力といった点からは、何ら差はありませんし、特に、私の場合、教育政策と情報政策と産業政策については、いきなり、民主党政策の実質的な取りまとめ役をやらせていただくことなっております。自民党だったら、最低でも10年くらい議員をやらないと、そうした役割はさせてもらえないと思いますが、実績と実力次第で、私のような若輩にいきなりそうした重要な仕事をまかせていただけるところが、若くて・民主的な民主党のいいところだと思っています。
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