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 ◆行政監視委員会に登壇


 私は文教科学委員会をメインに活動させて頂いておりますが、その他にもいくつかの委員会で活動させて頂いています。そのひとつが行政監視委員会ですが、同委員会は決算委員会に替わって平成10年1月より新たに設置されたメンバー40人の委員会であり、国会の行政に対するチェック機能強化を目的とし、国民の代表である国会議員が行政を監視することを目的としています。例えばBSE問題において農林水産省が事前に規制を徹底することを怠ったことであるとか、行政の不作為を正すべく審議を行っているところであります。

 私の委員会質問は4月1日と7月1日に行われました。4月1日は大きく分けて、政府のシステム調達に関する安値入札問題、教育訓練給付金の対象講座にインターネットを活用したものが認められていない点、そして食の安全に関連して、中央と地方の連携問題を築地市場の移転問題という観点から質問を行いました。7月1日は、私立大学医学部への寄付金と公正な入試の確保をめぐる問題です。
 

◆真の情報立国に向けて

 情報立国創造のために政府が果たすべき役割は大変に大きいと思っております。その役割としては、1つは情報関連技術に関する基礎研究を中心とする支援、2つ目にはIT活用人材の育成、3つ目には情報社会についての様々なルール作り、4つ目は政府自らがユーザーとして情報システムあるいは新しい情報サービスを使っていく、そのことによって新しいIT関連産業の創出を図る、といったことが挙げられます。
 

◆政府調達の安値受注問題

 こうした政府に期待される役割を果たす上で、大きく懸念される問題も発生しています。それは、政府調達による常軌を逸した安値入札というものが日常茶飯事のように行われている、ということです。例えば2001年に東京都の文書総合管理システムというものが発注されたときの金額は、予算8500万円に対してわずか750円で落札が行われており、旧郵政省の2000年度の政府調達予算は1億5000万円もあったにも関わらず、わずか2万9400円しか調達が行われていない、というような事態が発生しています。

 どうしてこのような事態が起こりうるのでしょうか。それは、本来であれば価格もさることながら、その適正や性能によって発注業者が決められるべきところを、単に価格のみでの競争入札としている点に問題があります。また、システム調達の場合、初年度にある業者のシステムを採用すれば、他社品との互換性や設計上の理由から、次年度以降も、同じ業者に随意契約として発注するケースが多くなります。業者サイドからすれば、初年度に損をしたとしても、翌年度以降に回収できるという算段が働きます。このことは逆に、調達する政府サイドにしてみると複数年のシステムのライフサイクルから見れば、結局コスト高につながることになります。また、こうした初年度に安値で受注するといった戦略は、体力のある大手企業にしかできない為、結局はIT発展の基盤を支えうる中小ソフト会社の受注機会を奪っている事になります。

 実は、こうした問題は私が通産省にいるときからの課題でありました。この問題をしっかりと改善しなければ、日本のIT業界の健全発展はありえません。なんと言ってもITマーケット10兆円のうち、その2割に当たる2兆円弱が政府調達であるのですから。 現在、経済産業省を中心に、本件の改善策が提示されています。予算単年度主義からライフサイクルベースでの発注への転換や、価格のみではない総合的な観点から業者を評価できるような仕組み作り、更には中小のITベンチャー企業が一社だけでなく、いわゆるコンソーシアム方式と呼ばれるような複数社による受注を可能にする仕組みなどが提言されています。今後も、この問題には深く関与していきたいと考えています。
 

◆教育訓練給付制度を早急にWBTにまで拡大すべきである
 
 平成10年度にサラリーマンのさらなるスキルアップ、再教育といった観点から、厚生労働省による教育訓練給付制度というものが設立されました。これは5年以上勤務しているサラリーマンを対象に、最大30万円を上限として受講料の8割を補助金として給付するという制度でありまして、皆様の中でも利用された方がいるのではないかと思います。平成13年には受講者が30万人、支給額は270億円、これまでの累積でも70万人、支給額800億円にまでのぼっております。私は、この制度は大変よいものと考えておりますが、そのさらなる拡充と、利便性の向上といった面からも、インターネットを利用した通信教育(WBT:web based training)の講座にまで当制度を拡充していくべきと考えています。

 このWBTというものはEラーニングとも呼ばれ、IT先進国のアメリカでは既にかなり一般的になっており、その名の通りインターネットを利用した遠隔授業のことであります。現在このWBTを利用した通信教育講座は教育訓練給付制度の対象外となっております。このような制度は、「IT・情報大国」を目指すわが国としましては、まさに早急に整備する必要があるのではないかと思います。特に教育訓練給付金制度の予算がこれ以上劇的に増額できない財政状況であるわけですから、低コストでより多くの方々の受講を可能とするWBTの積極活用を、率先して進めるべきと考えています。今後の政府の動きを、引き続き注視していきたいと思います。
 

◆食の安全を巡る政府のあり方〜築地市場移転計画から
 
 最後の項目は、東京都が打ち出している築地市場の移転問題に関連し、食の安全の問題、中央と地方の行政連携の問題を質問いたしました。

 現在、東京都では、施設の老朽化や市場が手狭であると言う事から、築地市場の移転を計画しています。私はまず、個人としてこの移転計画に強く反対をしております。それは、関係者の長年のご努力の賜物として作り上げられた「築地」という日本一の魚市場のブランド価値を本当に重要なものと考えているからです。企業の間では日々、自社のブランドイメージを高めるための懸命な努力が行われています。それと同様、「築地」には相当のブランド価値があり、新鮮な魚の代名詞ともいえる築地=優良ブランドをみすみす消滅させてしまう事があってはならないことと思います。

 さらに、今回東京都が移転候補先としている江東区豊洲地区の土壌が、ベンゼン、シアン、砒素、鉛、水銀などの有害化学物質で汚染されているという専門家の検査結果が明らかになりました。特に発がん性物質のベンゼンなどは、平成13年の調査によって基準値の1500倍の濃度が検出されておりまして、そういった土地に、食べ物を扱う市場を移転すべきでないとの専門家の方のご意見も多数寄せられており、私もそう思っています。BSE問題、雪印食品問題などで国民の食に対する信頼が大きく揺らいでいる中で、さらにその消費者の不信感を助長するような行政が行われようとしている、そのこと自体が由々しきことだと言わざるを得ません。

 そこで農林水産省に対し、今回の移転計画について率直なところ、意見を聞いて見ることにしました。その課程を通じて明らかになったことは、あらためて中央政府と地方政府との連携体制の悪さを認識させられました。

 築地市場のように大規模市場の移転は、農林水産省にその事業計画の認可が必要となるわけでありますが、現在のところまだそのような手続きは行われておらず、ただ東京都が計画を策定した段階であります。そのため農林水産省側の答弁「本省としては未だ聞き及んでいません」といった答えが返って来るのみです。しかし、行政手続き上何ら瑕疵がないからと言って、このような大規模でかつ国民生活に直接大きな影響を与える長期的なプロジェクトに中央省庁は承知していない、相談を受けた段階で検討する、と言った姿勢自体が行政に対する信頼を損ねているものと感じさせられてしまう結果となりました。

 本件については、質問の最後に、中央と地方の関係を直接管轄する立場にいらっしゃいます片山総務大臣にお尋ねしたところ、「手続き上は問題なく進んでいる。また、農水省は承知しないと、表面上言わざるを得ない立場だが、実際の事務担当者レベルではしっかりと下打ち合わせが行われているはずだ。問題となるべき点ではない。」といった趣旨の答弁が返って参りました。まさにその通りなのでしょうが、実際の手続きと、事務的な打ち合わせのレベルと、二重構造によって進められる行政運営の手法自体、私としては国民に一番わかりにくくさせている原因であり、かつ「お上意識」の典型と感じざるを得ない大臣答弁でありました。
 

◆帝京大学グループの不正寄付金処理について

 新聞・テレビ等で、帝京大学医学部への寄付金をめぐる脱税問題が報道されました。この真相をさぐるため、スズカンも7月1日に、行政監視委員会で、文部科学省に質問しました。私立大学医学部への入試をめぐるお金と不正の問題については、昭和56年に、合格者決定前の寄付金等の約束等を禁止する通知がなされていますが、文部科学省の答弁によれば、この通知に違反する寄付金の収受と、その寄付金の取り扱いをめぐり不適切な処理があったようです。正式には、7月15日に調査結果がでるということですが、帝京大学グループには、毎年、大学・高校・中学など含む全体で、約40億円〜50億円の国庫補助金が給付されており、不正が確認された場合には、厳正な処置を行うよう強く求めました。

 と同時、今後は、大学への寄付の中味について、きちんと情報公開して、パブリック・プレッシャーによって私立大学医学部への入学者選考の適正化が図られるよう提案をいたしました。併せて申し上げましたのは、医学生の養成をきちんとやろうと思えば、多額の費用がかかることは厳然たる事実です。ですから、私立大学への寄付自体は何ら問題ではなく、むしろ、純然たる寄付がどんどんできるような社会環境・社会制度を構築していくべきだと思いますが、不正な入学者選考と結びついている寄付は、大いに問題だということです。

 純粋な気持ちで大学に多額の寄付するということ自体は、むしろ、賞賛されるべきことですから、その中味を公表しても何ら問題ないと思います。行政監視委員会質疑への、皆様の声を聞かせてください!

 このように、行政監視委員会では多岐にわたるトピックを、色々な角度から政府に対して質問する機会が提供されています。ですから、是非、皆様の身の回りの出来事や行政手続きなどにおいて、「これはおかしい」とか、「行政がなすべき仕事がスムーズに行われていない」などと言ったことがありましたら、どんどん私にお話ください。そうした声が、行政監視委員会での質問ネタになっていきます。そして、一歩一歩この国の行政、政治を共に正して参りましょう! 


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