すずかんの医療改革の「今」を知る(2007年1月号)
第15回「「がん対策基本法」を絵に描いた餅にしてはいけません。」
年の瀬も近づき、12月は翌年度の予算編成の時期です。がん対策予算も計上されます。2006年6月16日に成立した「がん対策基本法」は文字通り「基本法」であり、理念と方向性を示したものに過ぎません。この理念がどう具現化されるのか、それはこの予算の中身にかかっています。
日本放射線腫瘍(しゅよう)学会などからも貴重な提言が行われていますが、放射線腫瘍医や化学療法医といった専門医の人材不足は、がん医療の均てん化促進の観点からも、非常に重要な問題です。
今後、放射線治療の対象となる患者が増えていくことが予想されますが、放射線腫瘍医は認定医が500人程度と極端に少なく、がん診療連携拠点病院においても約半数の病院で放射線腫瘍学会の認定医が不在となっています。また、臨床研修終了後にこの分野を希望する研修医は多くなく、大きな増加は見込めません。
こういった現状をふまえ、行政も努力しておりますが、不十分な点があることは否めません。
文部科学省は、医学教育モデル・コア・カリキュラムのなかで、がんに特化した放射線治療法等の学習が行われるよう示していますが、国公立・私立79大学医学科において、放射線治療に特化した講座等を持っているのは19大学と、まだまだ不足しています。
厚生労働省も10月、国立がんセンターにがん対策情報センターを設置しましたが、患者の相談に応えるコールセンターにはなっておらず、その整備が急がれます。
翌年度、がん対策費は「がん対策基本法」が制定されたこともあって、増額の見込みです。しかし、これが絵に描いた餅にならないように、予算がどこに、どのように使われるのか、国民の皆様にも興味を持っていただく必要があります。
私たちや医療界も、医療費拡充の必要性を発信していますが、世の中に十分に浸透していないのが現状です。メディアも国民の皆様が関心を持たなければ取り上げません。今回は放射線腫瘍医を例にとりましたが、皆さんこそが世論を盛り上げることができるのです。
