すずかんの医療改革の「今」を知る(2006年10月号)
第12回「現場無視の医療政策 その形成過程に注目しましょう。」
8月24日、助産師資格のない看護師に妊婦の内診をさせていた神奈川県内の病院へ、警察が保健師助産師看護師法(保助看法)違反の容疑で家宅捜索に入りました。看護師内診については、厚生労働省の課長から02年、04年と禁止する通知が出ていたが、病院の院長は大勢の患者に対応するため、内診させていたことなどが報じられています。これに対し、日本産科婦人科医会と学会は「分娩第一期の内診だけであれば、捜査は不当」との見解を発表しました。
そもそも厚生労働省の通知発出後、直ちに日本産科婦人科医会が「医師法や保助看法に矛盾し、助産師確保が難しい診療所での分娩を事実上不可能にする」と解釈変更を求めて猛反発、その後厚生労働省は検討会を設置、助産師の増員などを議論中でした。その矢先の捜査で、産科の現場は大混乱に陥っています。まず、課長通知と検討会開催の順番が逆だと思います。命を扱う現場に対して、実現不可能な法解釈を押し付ければ、現場は目の前の患者と法令との板ばさみにならざるをえません。現場に少しでも配慮すれば、経過措置や解釈の明確化など、知恵は出せたはずです。
ところで、今回の摘発があるまで、こんなに大事なことが課長通知で定められ、しかも医師と役所で大論争になっていたことを皆さんは知っていましたか? 恐らく似たような話が、たくさん埋もれているのでしょう。日本の医療を立て直すためには、医療政策の形成過程に埋もれているこの手の話を、発掘・発信・議論することが必要です。(現場でお困りの事がありましたら、ぜひお知らせください。)
