すずかんの医療改革の「今」を知る(2006年9月号)
第11回「医師の偏在解消に 育成と負担のあり方 議論しましょう。」
最近、宮崎大や鳥取大など地方大の医学部で県内出身者に入学優先枠を設ける動きが相次いでいます。僻地での医師不足に対応するためですが、医師の偏在は古くて新しい問題です。72年から79年にかけても、自治医大設立や一県一医大制などの取り組みがなされてきました。しかし、せっかくの地方医大も、卒業生が県内に定着しなければ意味がありません。ここ10年ほど、都市部出身者が地方医大を出て出身地に戻る傾向が顕著です。さらに、04年4月に始まった卒後臨床研修制度により、僻地の医師不足に一層拍車がかかっています。
偏在は地域間に限りません。外科や産科、小児科、麻酔科など、3K職場を新人たちが避けています。そもそも、1人の医師を育てるには、1億円以上かかると言われています。国公立大学では、その費用の大半を税金で負担しています。卒業生にはよくわかっておいてほしいと思います。最近は、卒後すぐ医療とは縁遠いプライベートビジネスを志向する学生も増えています。
ちなみにさきの国会で、国家公務員が国費留学して一定期間内に辞職した場合、かかった費用の返還を義務付ける制度が始まりました。高齢化する社会で、必要な地域、必要な診療科に医師を確保することは喫緊の課題。育成のありかた、負担のありかた、医師の社会貢献のありかたを議論するよい機会です。また、職業選択の自由とからんで難しい問題ではありますが、たとえば5年生時や臨床研修に入るときに、診療科ごとに定員を設けることの是非も検討すべきかもしれません。さらに臨床医養成にもっと注力するため、メディカル・スクール制度の立ち上げについても議論を本格化すべきです。
