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 コミュニティースクール構想〜実現に向けて半歩前進〜

私たちが一九九六年ころから構想し、一九九九年ころから本格的に取組んでまいりましたコミュニティ・スクール構想の実現に向けて半歩前進となる地方教育行政法の改正案が先の通常国会で成立いたしました。

私と金子郁容先生が構想していたコミュニティ・スクール構想に比べると、草の根からの自発的創発を支援するというしくみが脆弱な点や、最終権限については依然として県などの教育委員会が墨守している点などで、やや不十分な点があることは否めませんが、各市町村の首長、教育委員会、地域住民の皆さんが賢慮をもって新しい制度を使いこなすことができれば、各地で充実したコミュニティ・スクールを設置することが可能になりました。現場のやる気と見識次第です。

今回の法制定は、地方教育行政法の枠組みに無理矢理コミュニティ・スクール制度を押し込めるという立法技術を採用したために、条文だけ読むと無味乾燥で、重要事項は各教育委員会が定める学校管理規則に委任されるといった中途半端な法律になっている点もありますが、私としては、従来の頑迷固陋な文部科学省のことを思えば、地域に開かれ、家庭・地域・社会からより強くサポートされた地域立の学校づくりに向けて、小さくない半歩だと思っています。

この場を借りて、金子郁容先生はじめ多くの皆様のご尽力に感謝申し上げたいと思います。金子先生は、教育改革国民会議の主査に就任されて以来五年間、一貫してコミュニティ・スクール実現の先頭に立ち、政府の関係部局への働きかけや、全国各地の学校づくりに励む市民の応援に、日夜奔走されてこられました。また、全国各地でより良い学校づくりに日夜邁進しておられる市民の皆さんがいらっしゃってはじめて、法案化する意義が多くの人々に理解されました。さらには、そうした動きを蔭でフォローした霞ヶ関の革新官僚、県庁、市役所、町村役場の改革派首長・職員の皆さんにも、改めて敬意を表したいと存じます。

 繰り返しますが、これからは運用次第です。幸か不幸か、改正法では学校管理規則にほとんど丸投げされているため、今後は、首長、各地の教育委員会、地域の皆さん・保護者の皆さんが、各地域でどんな管理規則をつくるのかが重要になります。私も法案の締めくくりの質疑に立ち、申しあげましたが、コミュニティ・スクールがうまくいくもいかないも、各地域が、この制度の受け皿・担い手として、どの程度のソーシャル・キャピタル(地域の信頼のネットワークとコミュニティとしての問題解決力)があるかにかかっています。


 このソーシャル・キャピタルは、コミュニティ・スクールのような課題に向かって地域ぐるみで協力しあうことによって醸成されていきます。鶏と卵の関係にもあるわけですが、地域の子供たちを真中において、地域の大人たちが現場の校長・教員と一緒になって、重層的な学び支援のコミュニティを創れるか否かにかかっています。

 すでに、各地でこうした新しい学校づくり運動が始まっています。金子先生やその教え子たちも、各地の動きを支援されています。指定を受けずとも、郡部などにおいては、昔から、地域住民と学校と教育委員会と保護者が一体となって学校づくりを行なってきましたから、実態としてはすでにコミュニティ・スクールになっているわけで、このような制度を改めて持ち出す必要はありません。しかし、新興住宅地などで地域コミュニティが希薄な地域、または、旧住民と新住民の融和がうまくいっていない地域などでは、コミュニティ・スクールをキッカケとして新たな地域コミュニティが形成・再編されていくことも大いに期待されますので、この制度が意味をもつ地域も少なくないと思います。

いずれにしても、いろいろな形で全国各地にコミュニティ・スクールの精神・理念が広がり、具体的な学校づくり運動が展開され、それらが連動して盛り上がっていくことを強く希望しています。皆さんのお近くで、法律上の指定を受けると受けないとにかかわらず、地域が主体となって地域に開かれたコミュニティ・スクールづくりに挑戦してみようという声が盛り上がりましたならば、是非ご一報ください。新しい学校づくりの理念・制度・実際の創り方などについて、直接、お話しさせていただきたいと存じます、どうぞお気軽におっしゃってください。

また、「地域に開かれた学校づくり」の一貫として、週休二日制導入で休みとなった土曜日を活用して、従来の学校でもなく、塾でもない、新たな学びの機会を提供しようと、私たちが従来から提唱してきた「土曜学校運動」も、ここにきて、形になりつつあります。私自身「土曜学校まなびば」というNPO活動を若者と一緒にずっとやってきました。毎回、子供を中心に学生たちや保護者たちと学びの共同体をつくり、一緒にものづくりや体験学習を行なうことが、子供にとって、素晴らしい意味があることを実感いたしておりますが、私たちの提案も参考にしつつ、文部科学省も「地域子ども教室推進事業」を開始し、全国で五千ヵ所の子供のための新たな居場所が家庭・地域一体となった協力により創られつつあります。来年度からは、さらに数千箇所増やすことを計画していて、今、そのための予算折衝中です。




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