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 国民の生命・財産・尊厳を守るため今こそ国会の真価が問われる
  今国会の会期中、米英軍のイラク攻撃や北朝鮮の核開発疑惑や拉致問題など、かつてないほど世界の平和を脅かすような事態が大きな話題となりました。また国内でも、有事法制の成立に象徴されるように、国民の生命・財産・尊厳を守るための政府の役割が、改めて大きく問われた国会であったとも言えます。

■イラク攻撃勃発、主体性なき外交の危うさ
 一昨年の9月11日に米国を襲った同時多発テロ事件から、世界のムードが一気に変化しました。米軍はテロリストグループであるアル・カイーダ掃討を旗印に、アフガニスタンのタリバン政権打倒のため空爆を開始。アフガニスタンに新政権を樹立させた後、ブッシュ大統領は、その矛先をイラクに向けたのでした。ブッシュ政権は、イラクは大量破壊兵器を保持しているとし、その完全な廃棄と疑惑施設の徹底査察を求め、国連を中心とした調査団がイラクに乗り込みました。国際社会は、イギリスやスペインのようにアメリカの姿勢を支援する国々と、フランスやドイツのように国連中心の徹底的な査察継続を求める国々とに二分されていきました。
 そうした中、わが国の小泉総理は、明確な論拠を示すことなく、何となしにブッシュ政権支持に傾きます。独自の情報は皆無に等しく、ブッシュ大統領やブレア首相の言葉をそのまま鵜呑みにし、「大量破壊兵器はある」と強弁する小泉総理の姿に危うさを感じたのは、私だけではないでしょう。もちろん、フセイン政権の危険さは、私たちも十分認識しているところです。そのために、世界が一丸となって、その脅威を取り除くための努力をすることは必要です。ただし、そのことと武力行使を支持することとは全く別物です。戦争を支持するということは、日本も米英の戦争に巻き込まれ、国民を多少なりともテロなどの危険にさらすことになり、かつ私たちの税金を使うことになるわけですから、国民に対する論理立った説明が求められるのは当然です。小泉総理がすべきことは、自分の信念に基づき、ギリギリまで一人でも多くの国民に賛同してもらえるように努力を続けることであったのに、単に強弁を繰り返すのみで、説得、説明をすべて放棄してしまったことに、一番の罪があるのです。
 私たちは、根気強い査察の継続を訴え、できることなら戦争を回避したいと最大限の努力をしました。しかしその甲斐むなしく、3月20日に米英両軍はイラク攻撃に突入してしまいました。その結果、フセイン政権は崩壊したものの、イラク国内は不安定な無政府状態が続いており、イラク復興という新たな国際課題が生まれることとなりました。また、この戦争の大儀であったはずの大量破壊兵器も発見には至っておらず、小泉総理がなんら主体的な情報を得ずに、アメリカではなくブッシュ政権の言いなりとなって攻撃を支持したことが明らかになっています。戦争後、アメリカやイギリスでも誤情報や認識不足、さらには情報操作まで行われた疑惑が噴出しています。イギリスでは首相府の情報操作疑惑が、国防省顧問の自殺に発展し、ブレア首相退陣論まで噴出する事態となり、アメリカでもCIAによるイラクの核開発の証拠とされた文章が偽造であったことなどが問題視されています。こうした中、わが国の小泉総理の発言、行動を見るにつけ、日本という独立国家が、外交の場において全くその主体性を発揮していないことに懸念を覚えます。他国の政権の虚偽もしくは操作された情報をもとに、一国の政治を動かしているのであれば、その国の国民、つまり私たち日本人は極めて不幸であると言わざるを得ません。主体性のない政権が、どうして私たちの生命を守ることができるのでしょうか。大いに疑問を感じます。
 米ソ冷戦構造の1990年までは、アメリカに追従し、アメリカの核の傘に留まることこそが、日本にとっての唯一かつ最大の安全保障策でありました。今日もなお、アメリカは最大の同盟国であることに変わりはありませんが、その関係は、その状況に応じて、是々非々であるべきです。民主党は、米国との関係においては、現政権に負けず劣らず太いパイプを持っています。しかし、小泉政権に関しては、アメリカではなく、ブッシュ政権に無批判に追従するところに大いなる問題を感じます。
 例えば、北朝鮮有事の場合、アメリカの核の存在は、ベースとしては重要ですが、個別の侵略・侵害行為に対しては、まずは、我が国が主体的に予防し、独自の判断で、独力で不正行為を排除する必要があります。そのためには、我が国の独自の情報収集体制・対応体制をさらに強化する必要があります。小泉政権はこの点の取り組みも十分でないと思います。フランスが、あそこまで自信を持ってイラク攻撃反対の論陣を張れたのも、、フランスはイラクにおいてアメリカ・イギリスを上回る確実な情報網を持っていたからです。

■有事立法、イラク支援法
 国会では、北朝鮮問題とあわせて直面するわが国の有事に対応するため、「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」および関連二法案(=有事関連三法)の審議が行われました。この法案は、一年以上も前から与党が成立を期して国会に提出してきたものでありますが、国民世論や法案の中味の熟度を巡って成立が先送りされてきたものです。不備の残る与党案に対し、民主党は、@基本的人権を守る条文を追加 Aシビリアンコントロールの徹底 B災害などの緊急事態にも速やかに対応 といったことを中心とした修正を認めさせることにより、法案に賛成しました。国会における修正作業に先立ち、民主党では独自案を創りましたが、その民主党の考える基本法のなかに、私の提案で「未然の防止」という文言が挿入され、民主党の基本的考え方として、事前の予防・防止に最大限努力を払うという方針が確定しました。
 今国会終盤では、イラク復興支援特別措置法も国会で審議され、成立致しました。我が民主党は、的確な判断をするために調査団を独自にイラクに派遣し、依然としてイラクは戦闘状態にあることを見極め、武器使用基準を変更しないまま自衛隊を派遣することに反対致しましたが、決してイラク復興に消極的なのではありません。イラクの民生施設(軍事関連でない施設)建設に関わる債務のうち、最大の債権国が日本であるということ(約50億ドル)、イラクの潜在的な石油埋蔵量が世界一であるということ、それと人道的見地から、同国の復興にわが国が力を貸すのは当然のことと考えています。ただし、その復興を決めるイラク復興支援法の中味と与党の姿勢は、大いに疑問の残るものでした。つまり、与党案はイラク復興支援というよりは、米軍支援ばかりを想定し、イラクにとって本当に必要な暫定行政機構の早期立ち上げ、生活インフラの再建などに焦点が絞り切れていないのです。
 また、ここでも小泉総理の無責任ぶりが明らかになっています。国会終盤の党首討論で、小泉総理は「戦闘地域には自衛隊は派遣しない」と言い、その非戦闘地域はどこかと問われれば、「そんな細かい問題は私は知らない」と言い放ちました。自衛隊の最高責任者である総理大臣が、その派遣先の状況を把握せず、またどこが戦闘地域でどこが非戦闘地域であるかの説明もせずに、自衛隊の派遣を強行する。こんな国は、世界のどこを見渡してもありません。現地に送られる自衛官にとっても、送る私たち国民にとっても、議論が不十分すぎます。私たちが、街頭で演説していると、非番の自衛隊員の方が、我々の話をじっと聴いて下さっていて、「我々は北朝鮮から日本を守ることならいくらでも命を惜しまないけど、今のままで、イラクには行きたくない。民主党、是非、筋を通してがんばってくれ」と激励されたのは、とても印象的でした。やはり、政権交代しかないのです。

■「日本国民の生命・財産・尊厳を守る国づくりを実現する会」発足へ

 戦後、日本の中で、今ほど、国民の生命・財産・尊厳に対する具体的な危機が高まっているときはありません。そして、政治家が、いかにそうした危機に対応できる国づくりを実現するか、大きく問われています。机上の論争ではなく、具体的に一人一人の生命・財産・尊厳が確実に守られ安心して日常生活を送れるような国づくりのために、一つ一つ、実態を点検し、必要な制度整備、必要な人員体制の整備をすることにこそ、最大限の努力を払うべきときです。そうした思いから、党内の有志の皆さんと「国民の生命・財産・尊厳を守る国づくりを実現する会」を発足いたしました。
 党内の全議員に呼びかけたところ、本当に多くの皆さんから反響をいただき、50名近くのメンバーで、鳩山由紀夫前代表を会長、前原誠司ネクストキャビネット(次の内閣)安全保障大臣を会長代理、私が事務局長となってこの会を設立することが出来ました。
 これまで何度か会議を開き、講師をお招きして私たちの置かれた状況を改めて把握し、熱心な議論を交わしました。特に北朝鮮やイラクに象徴される外的脅威のみならず、テロや自然災害なども含めた、ありとあらゆる危機に対して、国家が何をすべきか、不毛な観念論を一切排除して建設的な議論をすることができました。
 大変、印象に残った議論の一つとして、今、日本に麻薬・覚せい剤が、末端価格にして3兆円持ち込まれている。そして、その3割が北朝鮮ルートかもしれないという報告でした。いずれも、いくつかの前提を置いた未確認・推定情報ではありますが、こうした問題の解決のためには、どうしても現状の海上保安庁の人員を増強しないと間に合わないという議論は、傾聴に値する意見だと感じました。こうした議論の積み重ねが、政権を獲得した際に必ず役に立つと思います。国民に対して、しっかりと説明責任を果たす、当然の政治、当然の外交を進めていくために、今後もがんばって参ります。


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