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 ◆2003年の冒頭にあたって

 二〇〇三年がスタートし、一月二〇日からは通常国会も開会いたしました。デフレ経済の立て直しと日本経済の再生が大命題でありますが、それと同時に、今国会ではいくつもの重要法案の審議が待ち構えています。個人情報保護法や人権擁護法など、まさに国民の皆様一人一人の尊厳にかかわる問題、そして教育基本法や介護保険法などの重要法案の改正も、政府は実現を求めてくるものと思います。そして何より、不穏な国際情勢に対し有事法制をはじめ関連審議がどのように繰り広げられるか、まさに国会の真価が問われると言っても過言ではありません。緊迫した気持ちで、国会での活動に当たっております。

 年始早々より、連日、北朝鮮の核問題やイラク査察問題が報じられ、これから迎える一年に起こりうる出来事の深刻さを思い浮かべざるを得ませんでした。私の考えるところでは、相当な確度でブッシュ政権は、イラク攻撃に踏み切ってしまうと思います。国連も、結局は、ねじ伏せられてしまうでしょう。もちろん、我々民主党はじめ野党は、正しい判断を求めてがんばります。しかし、聞く耳を持たない小泉政権はブッシュ外交に追随してしまうでしょう。何を弱気なと! お叱りをいただくかもしれません。もちろん、虚勢を張った発言をすることは簡単ですが、それでは自己満足でしかありません。米国内のリベラル派も、欧州の各国も、中国も、ロシアも、インドも、韓国も、ブッシュ政権の対応は過剰だと感じていても、その独走を制止するだけの存在には成り得ていないというのが現実です。冷静に現実を認識することからしか、真の解決はありません。この深刻な現実と、それを突破するために何から始めたらいいか、苦悩する毎日です。世界中に、無力感が漂っています。しかし、私は、決してあきらめずに、あらゆる知恵を絞り、あらゆる可能性に挑戦し続けるということだけは、お約束します。
 山本七平氏が言っていたように、日本という国はもともと空気によって、さまざまな重大決定がなし崩し的になされてきた国ですが、今やその現象が米国はじめ世界中に蔓延しています。

 不確実性がますます高まって、何が起こるかわからない時代になってくると、誰しも確固たる予測に基づいて確固たる見解を導き出せなくなります。そうなってくると、人間のタイプは二分されます。良識的で、思慮深く、客観・冷静な人ほど「事態は複雑で、その解決はそう単純ではない」と率直に語ります。その一方で思い込みが激しく、断定的に、一見明確な発言をする人々がいます。賢者は、熟慮し続け、寡黙になってしまう結果、思いこみの強い偏ったメッセージだけが社会を駆け巡るようになります。だから今は、国内でも国外でも、独善的なリーダーだけが、一見元気です。真理や事実に基づいて理性的で冷静な判断をする人間が、意思決定の場からどんどん追いやれてしまいます。例えば、米国にも、民主党系はじめ多くの良識派がいます。ブッシュ政権内にも、冷静なコリン・パウエル国務大臣がいますが、今や、意思決定の中枢から遠ざけられつつあります。こうした時に、平和がもっとも損なわれるのです。最近少し戻ってきて安心していますが、少々心配です。
 時代の変わり目になればなるほど、旧時代のものと新時代のものが入り混じりますから、現実は極めて複雑になります。そして、正しい対処策は、実に微妙で実に複雑にならざるを得ません。そのことを繰り返し国民の皆さんにご理解いただけるまで、ご説明することは大変重要です。メディアの方々の協力が、とても大事になります。しかし、そのことと処方箋自体が、単純でいいということは全く別です。多くの人々はその微妙さや複雑さに向き合う忍耐力がありません。中身自体に過度にわかりやすさを求めます。だからこそ教育が大事なってくるのですが、往々にして、こうしたときに扇動政治が横行するのです。

 物事が複雑になり過ぎたときには、物事の基本や原点に立ち返ることが、大事だと思います。政治とは何か?「国民の生命と財産と尊厳を守ること」だと思っています。そのための正しい判断をし、それを実行することが、一番大事な政治家の任務です。もちろん、それらをきちんと説明・解説・説得することも、大事な政治家の任務だと思います。しかし、最近は、正しい判断ではなく、わかりやすい判断を世の中が求めがちなことに危惧を覚えます。テレビ・メディアの方々も、政策判断に、正しさよりも、理解しやすさを求め過ぎだと思います。そのことが、正しい政策判断を歪めています。

 ブッシュ政権との対応においても、「日本国民」の生命の安全にとってプラスなのかどうか? まず、その視点から、その都度判断しなければなりません。米ソ冷戦構造のときは、米国の核の傘にいることが最大の安全保障でした。しかし、アメリカとの距離間を間違えると、テロの標的にされます。テロを中央集権システムで完全に防ぎきることは不可能です。ブッシュ政権と一緒に心中することが、本当に日本国民の安全にプラスなのかどうか? きちんと冷静に検討するべきです。米国の政治家は、米国民の安全を第一に考えています。日本の政治家も、日本国民の安全を第一に考え・行動すべきだと思っています。もちろん、米国・米国民と協力できること、特に、米国の良識派とは一緒に協力・協調できることがたくさんあります。こちらから、様々な提案をしてもいいと思います。

 スズカンは、より正しい・ベストな判断を下すために、熟議と熟慮を重ねながら、精進・尽力していくつもりです。もちろん、皆様にご理解いただけるまで、いくらでもご説明させていただきます。
 と同時に、最近、私が問題視していることは、私を含め、正しい判断や正しい政策提言をしている人間は私の周辺には少なからず存在しています。しかし、その判断や政策が、国家としての判断や、社会の合意にまではなっていないということです。良識ある自民党の一部の若手が、「言い放し症候群」と揶揄されています。また、民主党の提案している議員立法が質量ともに霞ヶ関を上回っていることは、今や定説ですが、しかし、その多くは実現されません。いい政策案を如何に国家の決定にしていくか? そこがこれからの政治の課題だと思います。まさに、小田全宏さんも提起されている政策OS(オペレーション・システム)をいかに取り替えていくかが、いよいよ大事になってきました。国際政治においても、アメリカの独走を黙認せざるを得ないOSを、作り直さねばなりません。 しかし、この政治・政策OS問題を真剣に取り組まない限り、小手先だけの、口先だけの改革では、何も改善されません。選挙制度、選挙手法、政党、政策過程、裁判、地方自治、教育、経済構造、官僚制度などを一挙に連動させて変えていかねばなりません。大変に難しいことですが、私なりのイメージはあります。やり甲斐もあります。知恵を振り絞って策を練り、現場にある様々な萌芽を探し出し、志を同じくする心ある人々のネットワークを作り上げ、必要な資源をかき集め、いつも現実を直視し、至らない点を反省し、改善し、活動を進化させていく、このことを地道に、あきらめず続けることしかないと信じて、今年もがんばります。まだまだ、同志と資源が足りませんが、成功するまでくじけずがんばります。
 よろしくご指導・ご助言くださいますようにお願い申し上げます。

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