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 「コンクリートから人づくり・国づくり」を国会で実現を!


選挙公約「コンクリートから人づくり・知恵づくり」を国会で実現を!

  ■念願の文教科学委員会に所属

 国会議員となると、各議員はそれぞれの委員会に属します。厚生労働、予算、国土交通、環境、外交防衛など政策分野ごとに全部で27の委員会があり、各議員はそれぞれの専門分野に応じ、複数の委員会に所属することになります。私の場合、教育問題や科学技術振興を取り上げる文教科学委員会をメインに、行政をチェックする役目を持つ行政監視委員会と、子供と大人、男性と女性などの共生社会の実現を目指す共生社会に関する調査会にそれぞれ所属することとなりました。特に私自身がライフワークとするべく、教育問題を取り扱う文教科学委員会への所属がかなったことは、選挙中よりずっと皆様に訴えてきた、「コンクリートから人づくり」の公約を実現するための最低条件であったため、まずは一安心といったところです。

 さて参議院の文教科学委員会ですが、元五輪選手である橋本聖子委員長はじめ、私と同じく今回の選挙で初当選を果たした大仁田厚議員、そして西岡武夫・有馬朗人・中曽根弘文といった文部大臣経験者等、多士済済な委員構成となっています。立場はそれぞれ違いますが、常に顔をあわせ議論を重ねる関係上、委員同士の交流は活発に行われますが、特に大仁田議員と私は、互いにないものを補うということからでしょうか、大いに意気投合しているところです。

 

  ■ 国会初質疑〜学習権の向上と充実こそが国会の責務〜

 初の委員会質疑は、10月30日でした。官僚時代に幾度と答弁者側として足繁く通った国会の委員室ですが、政府への質問者側としては初めてのことで、新鮮な緊張をもって当日を迎えることができました。これまで、通産省において『知的立国・日本』創造にささげた情熱や、慶應義塾大学助教授、母校高校講師として実際に教鞭をとってきた経験を通じて培った私の思い全てを、文部科学大臣および幹部にぶつけることができました。私が訴えたのは、次のようなことです。

狭い国土で天然資源にも乏しいわが国の発展を支えたのは、私たち日本人の知恵と人材であったことは疑うべくもありません。一方、中国はじめアジア諸国が昨今めざましい発展をとげている中、わが国の盛衰はこれまで以上にその知恵と人材をいかに育み活用できるか、つまり質の高い高等教育とその前提となる初中等教育、家庭教育、生涯教育の充実を実現できるかが21世紀の日本の命運を決すると言っても過言ではありません。同時に、個人並びに家族の人生の充実とそれを支える社会、国家、その健全な発展もまさに教育にかかっております。

そうした観点から、人が学ぶ権利、すなわち学習権は最も尊重されるべき基本的人権の一つであり、すべての人々の学習権の向上と充実を図っていくことが21世紀にこの国会に身を置く我々の務めであると考えています。

教育の充実という問題では、いくつかのアプローチが考えられますが、今回はその基盤となる、財政面を取り上げました。財政的基盤が極めて脆弱な学生にとって、その学習環境を補完する支援政策は、まさにその国の教育にかける姿勢を表す鏡と言え、その根幹をなすのが奨学金制度です。しかし、残念ながらわが国の奨学金制度は、決して十分といえる水準にはございません。

わが国の奨学金制度は、文部科学省所管の特殊法人である「日本育英会」が主体となって事業を行っており、2001年度の事業規模は約4732億円、民間団体や地方自治体が独自に行う奨学金事業を含めて総額約5500億円ほどであります。これは、アメリカ10分の1程の事業規模でしかありません。また上記の奨学金は高校生で全学生の約2.5%、大学生で約16.5%、専門学校生を含めると全体で約8.9%の割合で給付されており、これはアメリカの約8分の1、オーストラリアの約11分の1であり、先進国中間違いなく最低の水準にあります。また、学生一人一人に対する貸与額も、学生生活費(学費と生活費の合計)の3分の1程度にすぎず、学生は在学中もアルバイトに明け暮れるか、もしくは就学以前の段階で進学をあきらめてしまうかのどちらかを選択する以外にないのがわが国の現状です。こうした貧困な施策が、家計を相当圧迫し、多くの人々の学ぶ権利、そして将来の可能性を奪っているのです。今後は、専門学校生、社会人も含め、広く、手厚く学習機会を保証していくことが本当に大事だと思います。

それでは、諸外国の奨学金制度はどうでしょうか。総じて、ヨーロッパ諸国は高等教育をとりまく支援制度が充実していると言えます。例えば、ドイツはほとんどを占める州立大学の学費が無償であり、イギリスでもそもそも学費が安い上に、学生の約半数がその支払いを免除されています。またアメリカでは、奨学金制度が大変充実をしており、日本の額の約10倍に上る500億ドルの奨学金が総額で給付されており、学生全体の7割が給付を受けています。その他ここでは触れませんが、フランスやオーストラリア等、ほぼ全ての国々で日本より圧倒的に充実した制度が用意されています

これら先進諸国の例を考察すると、次の三点が共通しています。第一に、できるだけ広範な学生への奨学金給付を目指し、家庭の貧困などの生得的な影響を極力排除するように努めている、ということです。第二に、奨学金が学費分は確実にカバーし、更に生活費まで保障する水準まで踏み込んでいる、ということです。第三に、全ての国が「教育」を国の根幹であると位置づけ、それに大変な力を注いでいるということです。まさにこの三点は、教育の「世界標準(グローバルスタンダード)」と言ってよいでしょう。

要するに先進諸国の中で、学生が経済的な理由で修学を断念したり、さらにそうした学生の学費、生活費が親の家計を圧迫したりしている国は日本以外に見当たりません。更に、現下の経済情勢を鑑みるに、そうした懸念は強まりつつあります。私も大学助教授時代、何人かの生徒がキャンパスを去って行く姿に触れ、とても胸の痛む思いがいたしました。

こうした状況を少しでも改善させようと、多くの諸先輩方が懸命に活動されてこられましたが、そうした努力は、従来の与党の政治力学の中でいつも踏みにじられてきました。従来型の建設・土木事業には野方図に予算を投下する一方で、教育投資がいつも後回しにされてきたのです。例えば、日本における公共事業予算の対GDP比率は6.2%であるのに対し、高等教育予算の対GDP比率はわずかに0.7%です。9:1というこの比率を変えなければならない。それが本当の構造改革です。他の先進国では、どこも大体1:1となっているのです。私も通産省において、知的立国日本創造のために我が青春の日々をささげてまいりましたが、二十一世紀への準備がどんどんおくれていくことへの焦りと、我々若手官僚の真摯な思いが通じない悔しさを毎日味わってまいりました。

しかし、もはやこれ以上停滞を続けるわけには参りません。人づくりは今やまさに国民の総意であります。今こそ、これまでの力学や概念に捕われることのない政策運営が必要であり、その皮切りとも言えるのが、徹底的な奨学金制度の充実です。

私のこうした訴えに、遠山大臣はじめ文部科学省幹部には理解を示していただきましたが、道のりはまだまだその緒についたばかりです。今国会の委員会での議論はここまでとなりましたが、政府の行政改革論議では、特殊法人である日本育英会の廃止が現実の話として持ち上がっています。単なるパフォーマンスの一環として行政改革が進められ、その結果として教育政策が後退するようなことは言語道断です。日本の未来を担う若者の育成に向けて、今後とも最大限の努力を続けて行きます。

 

  ■藤原和博参考人登場 〜「よのなか科」の挑戦〜

 国会には、「参考人制度」というものがあります。それぞれの政策分野における有識者を各委員会にお招きし、そして政策や委員会質疑に反映しよう、という趣旨のものです。それぞれの参考人は、各党の推薦により招致され、基本的にはその党の考え方を補完するような方を指名することが多いようです。

毎回テーマが決まっており、今国会では「学力低下問題」が取り上げられました。これまでは、各党とも大学教授やシンクタンク研究員をお呼びすることがほとんどでしたが、今回民主党推薦の参考人として私が陳述をお願いしたのは、私の尊敬する友人である藤原和博さんでした。

リクルート社のフェローとしてビジネスの最前線で活躍する藤原さんは、息子さんたちを通じて今の教育問題に深く関心を持たれるようになり、生きた社会を子供たちに伝えようと、東京都足立区立第十一中学において、「[よのなか]科」という授業を行っています。

藤原さんの主張と「[よのなか]科」の理念・内容は次のとおりです。これまでの学校教育は国語、英語、数学、理科、社会といった学力をつけるため、読み、書き、算盤、暗記といった力を鍛えることにのみ偏ってきました。しかし、価値観が多様化し、ボーダーレスな競争にさらされる情報社会を生き抜くには、これだけでは不十分です。そこで「[よのなか]科」では、ロジック、コミュニケーション、シミュレーション、ロールプレイング、そしてプレゼンテーションを「二十一世紀の新五教科」と呼び、推理、洞察、交渉、説得といった力を鍛えようとしています。実際には、ハンバーガー店を町のどこに出店するか、というシミュレーションを通じて授業を進めます。「[よのなか]科」を通じて、社会人が持つ、生きるチカラを子供たちに伝えていくことが狙いです。

 実際に私、すずかんも足立十一中に講師として「[よのなか]科」に参加しましたが、子供たちのイキイキとした姿に、正直びっくり致しました。今回の参考人の陳述においても、各議員から藤原さんに質問が集中し、その関心の高さと試みの斬新さを、あらためて実感させられました。(「[よのなか]科」に関しては、藤原和博さんの近著「世界でいちばん受けたい授業」(小学館刊)をご参照ください)

 

  ■「教育」にもっと陽をあてよう

 イギリスのブレア首相が1995年の選挙において、「今のイギリスには大きな課題が3つ存在する。それは教育、教育、教育だ。」と言い続け、政権を獲得した話は有名です。一方、日本における教育の関心度は、その重要性とは裏腹に、あまり高くはありません。

 特殊法人改革の議論において、道路四公団に関してあれだけ大騒ぎするのと対照的に、日本育英会の廃止問題に関しては、ほとんど議論すら表に出てきません。それは、マスコミや政治家の責任であります。国会がこうした状況だからこそ、私がこのたび国会に挑戦させていただいたわけです。現状を一刻も早く打破するため、そして「教育立国日本」創造のために、共に頑張りましょう!

 


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